■背景

我が国の生活保護の現状を簡単に説明いたします。厚労省のまとめでは、生活保護の受給は今年3月時点で過去最多の約210万8096人。生活保護費は平成24年度当初予算ベースで3兆7000億円。

受給者の増加とともに不正も拡大の一途をたどり、平成22年度には25355件が発覚し、その額も128億円と過去最多となりました。平成22年度までの5年間では計94352件、総額5186842万円にも及んでおります。

 

不正の内訳は「稼働収入の無申告・過少申告」が5割以上を占め、「年金・保険金の無申告、預貯金の無申告」などが続いています。それらはほとんどが意図的な資産・所得隠しと認定された悪質なものばかりで、収入増による生活保護費の減額を避けるための不正と推察されます。

 

発覚した場合は生活保護法に基づき返還が求められていますが、平成22年度の返還された金額は、不正受給額全体の3割弱にあたる約37218万円。すでに使い切って返還不能であったり、資産がありながら応じないケースもありますが、自治体には強制徴収の権限はありません。訴訟を起こし一件一件返還を求めるしかないという現状は自治体が頭を抱えるところではないでしょうか。

 

1.高石市における生活保護不正受給の実態について

さて、そこでまずお聞きしたいのが、本市における生活保護の不正受給はどのような実態になっているのでしょうか?過去5年間の推移を教えて下さい。また、4月1日現在の受給世帯もあわせて教えて下さい。また、返還状況についても教えて下さい。

 

■答弁1

高石市における生活保護の不正受給の実態

年度

件数

金額

平成19年度

5件

190万5483円

平成20年度

なし

なし

平成21年度

9件

259万9464円

平成22年度

3件

301万8237円

平成23年度

8件

252万4516円

※全額返還済み

内訳)

・年金の無申告 11件 472万2790円

・就労収入の無申告、過少申告 7件 244万6941円

・生命保険や労災保険の無申告 5件 193万6344円

・住宅退去時保証金の無申告 2件 93万1625円

不正受給の防止策としては、就労者や年金手当等受給者について定期的な収入申告書の提出や家庭訪問等による生活状況を把握するとともに、課税資料との突合を他市に比べて1回多い、6月と2月の年2回実施して不正受給の予防と早期発見に努めています。

また、不正受給者のうち今年度(平成24年度)に入りまして1件死亡された方がございますので、未済金額175万1390円が不納欠損となる見込みとなっております。

 

2.不正受給は、あくまで氷山の一角

分かりました。お亡くなりになられたということで致し方ないケースだと思いますが、生活保護費は市民の血税から支払われているので、不公平な支給がないようご対応を願います。

この場合での不正受給とは、前述のとおり稼働収入などの所得を隠して受給していたり、年金や保険金の無申告によるケースが不正受給と呼ばれるものです。ケースワーカーの方が調査をしていただくことで不正に受給している事実の発覚に繋がっているのですが、それも氷山の一角であって、不正受給全てに対応できているわけではありません。

 

それらの原因には、ケースワーカーを欺く為のノウハウがネット上で公開されていたり、ギャンブルなどの見えにくい一時的収入の無申告、年々増加の一途をたどる被保護者に対応するべきケースワーカーの抱える人的負担などが挙げられます。

 

3.生活保護実態を把握する体制は社会福祉法上の標準を遵守できているか

■ケースワーカーの配置状況について

そこで、お聞きしたいのですが、生活保護を担当するケースワーカーは社会福祉法上、被保護世帯80世帯で1人配置することを標準数と定められていますが、本市のケースワーカー標準数は何人で、それを確保していますか?また阪南8市で構いませんので、他市の状況も分かれば教えて下さい。

 

■答弁2

阪南8市のケースワーカー配置状況等

 

人口

受給世帯数

標準数

配置数

不足数

受給人員

保護率

高石市

58,929

591

7

7

0

872

14.8%

泉大津市

77,312

1,100

14

14

0

1,625

21.02%

和泉市

185,660

2,755

35

23

-12

4,329

23.32%

岸和田市

198,615

3,582

44

25

-19

5,360

26.99%

貝塚市

90,450

1,123

13

12

-1

1,617

17.88%

泉佐野市

100,426

1,257

15

12

-3

1,682

16.75%

泉南市

63,862

853

10

10

0

1,281

20.06%

阪南市

56,271

452

5

5

0

622

11.05%

 

社会福祉法第16条第1項第2号に定める担当ケースワーカー数は、市においては受給世帯が240世帯までは3名、80世帯増すごとに1名加算することとなっており、本市の標準数は585世帯に対して7名となっております。

本市では、現在7名のケースワーカーで生活保護受給世帯を担当しており、標準数を確保しております。※一人あたりの平均担当数は84ケース

 

4.最終のセーフティネットである生活保護を受ける事前の救済措置は発揮できているか

■リバースモーゲージ制度は適正に執行されているか

一人あたりの平均担当数は80ケースを若干超えてしまっているようですが、他市に比べると充足している方だと思います。しかし、生活保護の不正受給に対応していくにはケースワーカーのマンパワーが何より不可欠ですので、体制を整えていただきますようお願い致します。

 

有難うございます。もう一つ確認しておきたいのが、リバースモーゲージ制度です。これは、持ち家に住んで生活保護を受けているお年寄りに対する支給をやめ、自宅を担保に生活資金を貸し付ける制度で2007年から導入されていますが、本市における利用割合はどのようになっていますか?またその要件に合致しているのにも関わらず適用されていないという世帯は存在しますか?

 

■リバースモーゲージ制度とは平成16年12月生活保護制度の在り方に関する専門委員会において、「居宅用不動産を保有する保護受給者が死亡した場合、その不動産を生存中何の援助もしなかった扶養義務者が相続だけ権利としてすることは、社会的公平の観点から問題であり、国民の理解は得られない。資産活用を徹底し、自宅資産から費用徴収(リバースモーゲージ)すべき」との指摘を受け、平成19年4月から導入された制度。土地・家屋の時価が500万円~1000万円の居宅用家屋の場合において、これを担保に各都道府県社会福祉協議会が窓口となって、生活福祉資金の一種として要保護者向けに長期生活資金を貸し付け、貸付期間中は生活保護を適用しないという制度。

■答弁3

平成19年度から2件の利用状況で、要件に合致しているのに適用されてない世帯はありません。

 

5.不公平な生活保護実態の根絶を

■パチンコに通いづめの生活保護者の監視を強化せよ

分かりました。生活保護費を適正に削減していくうえで欠かせない制度なので、漏れのないよう運用していただくことをお願い致します。

 

まじめに頑張っている納税者からすれば、まじめに働いて税金を納めて、それを不正に受給している者がいるという現実は本当に馬鹿馬鹿しいと感じると思います。本当に困っている人たちへのあるべきセーフティネットが、不正に執行され、社会全体に不公平感を蔓延させてしまうと本当に必要とされる方々が受給しにくくなるような風潮になってしまうのではないかと危惧してしまいます。そうなってしまうと、保護を受けられずに餓死してしまうという悲しい事例を生んでしまいかねません。そうならならいように、不正受給を根絶させ、生活保護制度の公平な運用に努めていかなければなりません。

 

そのなかで市民からいただくご意見のなかで最も不公平感のあるものは、パチンコ、ギャンブルです。被保護者は一切娯楽を享受してはならないということまでは言及できませんが、市民が納めた税金でギャンブルに講じるというのは、やはり不公平極まりないものであると考えます。「生活保護受給者がパチンコに通いづめであるが、我々の血税がそんなことにつぎ込まれるのは、心外である」という話をよく聞きますが、その思いは当然であります。

 

先ほどのご答弁でもありましたようにケースワーカーの皆さまにもパチンコ店などの見廻りも強化していくべきだと考えますが、当局としてはどのような見解をお持ちでしょうか?

 

■答弁4

受給者が働ける状況にあるのにもかかわらず、求職活動をせずにパチンコ店に入り浸っているとか、パチンコに保護費を使い過ぎて生活費に影響するという事実が判明した場合などは、福祉事務所として生活態度を改めるよう、口頭指導及び文書指導の対象となります。特に働ける状況の方で、文書指導にも従わない場合には生活保護の停廃止の対象となるものと考えます。

 

■これからの国の動向にも注視し、自治体で尽くせるべきは尽くしていくように

最後に2つのニュースを紹介したいと思います。

一つは医療扶助の不正受給を監視するため、電子化されたレセプトを活用し、不審な点が疑われる事例を瞬時に発見するソフトを厚生労働省が開発し、秋頃から全国の自治体に導入するとのことです。

従来のソフトに比べ、検索能力が格段に飛躍しており、例えば、①月15日以上の通院が3カ月以上続いている人であったり、②180日を超えて入院している人、③1件当たりの医療費が高い医療機関の検索も可能とのことです。

また、申請者や扶養義務者の収入、資産を正確に把握できる金融機関の「本店一括照会方式」が12月から実施する予定と参院予算委員会で厚労省の大臣が述べておられました。これも今までは居住自治体の支店しか照会できていなかったのに対し、居住地から離れた金融機関の支店の口座も把握できるように全銀協と連携していくとのことです。

こういった国の動向もしっかりと抑え、生活保護の不正受給を根絶し、公平な制度運用を望みます。

 

これだけ長引く不景気において、生活保護の存在というのは先進国の日本にとって本当に必要な制度であると思いますが、現在はそれが権利偏重となっており、公の中で果たすべき義務が忘れ去られているようにも感じます。

繰り返しになりますが、公平な生活保護制度の運用がなされなければ、どうしても保護が必要な方が受給できないという最悪な事態に陥ります。

法改正が必要な部分もありますが、自治体で出来ることは最善を尽くして、この制度の公平な運用を強く要望し、一般質問を終わります。

 

 

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