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【福祉】健幸リビング・ラボについて@H29.3月議会

これからの行政は「多様な目的をもった多彩な人材との共創」が必要となってきます。
決して「上から目線でやって欲しいこと」を市民ボランティアという名目で押し付けてはいけません。
そのなかでも求められるスキルが「ファシリテーション能力」です。

ファシリテーション能力とは?
以下、Wikipediaから抜粋。
ファシリテーションは、会議、ミーティング等の場で、発言や参加を促したり、話の流れを整理したり、参加者の認識の一致を確認したりする行為で介入し、合意形成や相互理解をサポートすることにより、組織や参加者の活性化、協働を促進させるリーダーの持つ能力の1つ。

何度か経験させてもらったことがありますが、大切なのは「仕切らない、相手を否定しない、先に結論を言わない」を守り、多様な参加者の合意形成を優しく支援することを念頭に置きながら取り組んでいます。

言葉では簡単に聞こえますが、これがなかなか難しい。
いまや、このスキルを習得しようと有料の教室まであるぐらい。
これからの社会はワンマンよりもチームで生み出していかねばならない時代です。

そして、高石市が(おそらく)苦手としてきた分野のスキルです。

しかし、高石市がそれに挑戦するというのです。
それがリビングラボ。

まだWikipediaではないので、リンクを紹介。
↓ ※ここがいちばん分かりやすいかと。
http://www.concentinc.jp/labs/2015/05/living-lab/

企業が新商品を開発したいけど、消費者の動向を調査するのはコストがかかるし、実生活に即していない場合もある。
行政は社会課題を解決したけど、資金面やノウハウなどで自分たちだけではできないような分野の参画が必要。

そこで、企業×行政×市民×研究機関(or製造業など)で仮想のラボラトリー(研究室)を設定し、イノベーションを生み出すというものが「リビングラボ」です。

さて、高石市は健幸ポイントという事業をおこなってきました。
歩けばポイントをもらえるというものですが、それが去年の12月でとりあえずは終了。
なんとか事業を続けて市民に健康になって欲しいという思いから、企業を巻き込んで、高石市民の健康作りを行っていこうというのが、健幸リビング・ラボというもの(らしい)です。

協力してくれる企業は市民という生活者からモニタリングし、市民は健康診断などのクーポン券などのインセンティブが得られ、行政は健康施策の原資を企業から供給できるというプロジェクトが予想されます。
松本市が先進的にやってます。
https://www.city.matsumoto.nagano.jp/kurasi/sigoto/kenkousangyou/hl.html

先日の福祉土木委員会で議論されたのが、この健幸リビング・ラボですが、くわしくは予算委員会に持ち越されました。
私はその委員長なので、福祉土木委員会で質問しておかないと予算委員会で質問できません。

なので、リビングラボという行政の挑戦に対し、留意しておかねばならない点を申し上げました。

まずもって、リビングラボの課題は以下にまとめられます。

1.市民の立場

  • 継続して参加し続けるメリットが必要
  • 健康診断の無料券などのインセンティブ、社会貢献、多様な人材との交流
  • 参加費を徴収すると確保が困難になるが、一方で、意識の高い層が絞られる
  • 行政の立場からの押し付けは厳禁
  • ステークホルダーとしての認識を持ってもらうことが難しいけれど重要
  • カスタマージャーニーマップとしての情報を説明し、共有できるかどうか
  • 個人情報はどこまでの範囲で目的内利用させるのか

2.企業の立場

  • 従来のマーケティングリサーチでは得られないようなニーズに気付いてもらう
  • CSRよりもCSVの性格が強いので、社会貢献と利潤追求のハンドリングがミソ
  • 新商品開発はオープンな場(ワークショップなど)でおこなわれるので、機密保持できない
  • 知財問題の観点として、新商品による利益が出た場合を想定し、事前に対応を明示化
  • 個人情報の使用については特段の配慮が必要(リスクが大きすぎる、高石ではすまない)

そして、何よりも「違う目的と価値観をもった企業と市民を同じ方向に向かわせる」という難関です。

それは従来の高石市がやってきた「コンサル頼み」でも「優秀な職員に片手間でさせる」ようなやり方では絶対にできません。

なので、申し上げたのは1点。

2人、最低でも1人の職員に専任させることが事業成功の前提条件、であることです。

メイドイン高石の健康施策が日本の医療費増大問題を解決させる糸口のひとつとなるよう願いを込めて訴えました。

繰り返しですが、とても難易度の高い事業です。
人員に余裕のない高石市は、コンサルに投げたり、デキル職員にいくつもの案件を併任させたりというのが常態化しています。
それは決して悪いことではないのですが、このラボだけは今まで通りの手法では成功しません。

全国の自治体が抱える諸課題に対し、挑戦的な取り組みを続ける高石市には高く評価します。

だからこそ、絵に描いた餅に終わらないよう注意しながら見守りたいと思います。