さて、前回は土地開発公社の内容について書かせていただきました。

今回は、「三セク債(たたみ債)」の内容について書かせていただきます。

まだマニアックな話が続きますが、子どもに回すツケを喰いとめるために、とっても大切なお話です。どうかご理解下さい。

図と一緒に説明していきます。

 公社解散までのフロー図

まず(現行)から。

これは現在の市・公社・金融機関の関係を表しています。

①    高石市が事業したいので、必要な土地の取得を公社に依頼し、契約を締結します。

②    公社が金融機関にお金を借りる担保として、まず市が公社を債務保証します。

③    そして金融機関が資金を貸し付け、公社は土地を取得します。

こうして取得し続け、放置し続け、元本・金利・補償費等で72.3憶円の負債が残っております。

 

そして、三セク債の出番。(代位弁済)をまずは行います。

①    高石市が三セク債(約50億円)を発行します。

②    高石市が借入先の金融機関に代位弁済を行います。

③    弁済をしたので、高石市の残りの債務保証額は22.3憶円となります。

④    当然、金融機関から公社への貸付金も22.3憶円に削減されます。

②´代位弁済をしたので、市から公社への求償権が発生します。

 

市が代位弁済をしたので、公社から市へ代物弁済が行われます。

そして、その差損分は債権放棄をするという手順になります。

①    市が公社へ発生した求償権の行使をします。

②    公社には資金がないので、土地をもって市へ代物弁済を行います。しかし、土地取得価格と現在の地価には金利等で大きな差損が生じてしまっています。

③    市が公社への債権を放棄するという手法をとります。

④    22.3憶円の債務保証はそのままで、次の段階で削減されていくことになります。

⑤    同じく貸付金もそのままで、次の段階で削減されていくことになります。

 

そして、公社が残している22.3憶円の保有高である南海中央線用地の事業化を進めていき、平成32年までに公社を解散させる予定となります。

 

さて、私たち議会に議決を要請されているのは、この「三セク債の発行について」と発行後、必要な手続きとなる「債権放棄について」です。

三セク債の発行そのもののデメリットは、

①    起債残高が増え、公債費が多くなることによって、実質公債費比率が上昇。これが25%を超えると「早期健全化団体」に指定され、自治体の財政運営が硬直化してしまいます。

②    そもそも、地価上昇期において国が土地を拡大するために土地開発公社を地方自治体に作らせたのに、今となって自治体のお荷物となった公社を解散させるための地方債を発行させるという政策的矛盾。

一方でメリットは、

①    金利が金利を生み続け、雪だるま式に増え続ける借金を、低金利(1.545%→1.0%※他市調査)のローンに変えることで、将来世代への負担が大幅に軽減され、各年の金利に費やす財政支出も削減させることができる。

②    そもそも金利が金利を生み続けているという財政構造の抜本的解決は急を要するべきである。この起債の発行によって根本解決が図られる。

・・・以上が、主に挙げられるメリット・デメリットです。

個人的な思いをお話しすると、三セク債の発行が容易な時点ではなかった時代から「なんとかして三セク債の発行を」と総務省に要請しに行くほど、この起債の発行は、公社の健全化には必要不可欠なものと認識しておりました。今回、総務省の解釈が拡がり、三セク債の発行が可能となったことは、微力ながらも達成感を覚える次第です。

(以前は、南海中央線用地を残すような一部解散は認められず、全部解散のみ発行が許されている・・・という解釈だった)

ですので、三セク債の発行そのものは諸手を挙げての賛成です。

 

しかし、気がかりなのが「債権放棄」。

以前、神戸市では外郭団体への補助金の債権放棄をしたということで物議を醸していました。自治体の債権放棄というのは市民の財産による生みだされた債権を放棄するということなので、非常に厳格な拘束により認められるもので、相当な理由がない限り、違法性も認められる可能性のあるものなんです。

私は債権放棄を避けれないものかと思案し、代位弁済ではなく、ただシンプルに土地を買い戻す原資として三セク債を発行できないものかと考えました。それなら差損分を債権放棄せずに公社の保有高を減らすことができる、と。しかし、これは地方財政法5条で定められている「地方債の制限」で認められていません。地方債は、その限定された目的でしか使うことは許されず、例えば「道路を敷設するために発行した起債は、小中学校の耐震化には使えない」ように、公社をたたむ為に発行を許された起債は、(事業継続するか否かは別として)土地を買い戻すために使うことは許されていません。

このことから、簿価と現在の時価に差損が発生している時点で債権放棄というのは免れることのない、三セク債を発行する上で避けて通れないパッケージングされたものであるということです。

 であるならば。

債権放棄という自治体運営上あまり好ましくない手段を採るのか

それとも、将来世代への負担をこのままにしておくのか

 

この二者択一が私たち議会に求められています。

どの議案も大切ですが、とっても重い決断を議会がしなければなりません。

色んな考え方があると思いますが、私は、「子どもにツケを回さない!」という自分の政治信条を貫き、三セク債の発行、そして債権を放棄することに同意を示す決意です。

好ましくない手段を採るのはいけないことだからと言って、未来にツケを回すということを私は絶対に容認できません。

 

 

余談ですが、この内容は月曜日に審議されます。本来なら委員会審議を経て、そこで得た新たな情報をもって採決、そして、ブログなり機関紙なりで主張をするというのが一定の順序だと思いますが、上にも書いたように、この三セク債の発行は私が以前から調査研究してきた内容でもありますので、審議に入って新たな情報を得るということがほとんどありません。ですので、私の表決も変わることはないので、事前に書かせていただきました。

 

コメント & トラックバック

去年から少し市政に興味をもち、いろいろ読んでいます。
その中で三セク債の内容がよくわからないなあと思っていたら、
こちらに説明してくださっていたので読ませていただきました。
理解できたというところまではいきませんが、おおよそのことは
わかった様に思います。

今の状況までくるとどんな対策をしても損失は覚悟しなければ
いけないということもわかりました。
払うばかりで何も生み出さない金利を少しでも軽減しようという
考えは当然のことですね。
ただ、こんな状況にまでなったのは何故かということについて
検証し同じようなことを起こさない仕組みをつくる義務が
市にはあるのではないかとも思いました。
地価の下落や不況による歳入減はもうずいぶん長い間続いてきている
ことで、短期間で今の状況になったとは考えにくいです。
土地開発公社の持つ土地の現状と事業の見通しチェックして
柔軟な対応をとっていれば今よりもましになっていたように感じます。

「起きたことはしょうがないから市民で頑張って負担してください」
で終わってしまって、責任の所在もなにもわからないでは
また同じようなことが起こってしまうのではと心配になります。

これは、土地開発公社だけでのことではないはずですので
いろいろな事業や市関係機関の活動状況をチェックして
問題があれば機敏に対策のできる仕組みづくりを
考えていっていただけるようにお願いいたします。

のぞママ様
コメント有難うございます。
機械的で拙い説明で恐縮ですが、一定ご理解をいただき有難うございます。
また、
>「起きたことはしょうがないから市民で頑張って負担してください」
>で終わってしまって、責任の所在もなにもわからないでは
>また同じようなことが起こってしまうのではと心配になります。
とありますが、私のブログで真に訴えたいことは正しくそこにあるんです。

昔の失策によって私たち世代にツケが回ってきているのは、公社の問題だけではありません。無計画な道路計画、国家ビジョンなき教育制度など、枚挙に暇がないほど、今の地方政治は過去の清算に追われているのが実情です。

ここまで公社の負債が膨らんだ要因は大きく二つあります。
それは「失策を失策であることを認めることが遅れすぎたこと」と「過去の成功体験への依存」です。
地価上昇期でしか存在意義を見いだせない土地開発公社は、バブル崩壊後、すぐさま解散の方向に向かうべきでした。しかし、役人のダメなところとして「(税が投入されているという理由もあり)今まで進めてきた政策を否定できない」というマインドがあります。それは国も地方も。(公社の土地を買い戻す財政的体力がなかった時期もありましたが、その時点以前の問題です。)
そして、対策が遅れに遅れ、金利が膨らみ、税財源が乏しくなった時期に解散を余儀なくされ、それが市民負担となってしまっている(特別交付税が入るので正確には高石の失策を日本全体が薄く負担している)この現状はご指摘どおり繰り返すわけにはいきません。

昔のバブリーな税財源は、もうおそらく訪れることはないと思われるので、同じような状況が今後起こることは社会的にないと思われますが、それでも公社の反省点から「未来にツケを回さない」という視点が絶対に必要です。(私の政治スタンスはそこに軸足を置いています)

また、責任の所在においては、議会内で様々な論議があったのですが「市長を始めとした市職員が責任をとって減給、その財源を公社の買い戻しに充てる」ということで、財源確保されています。もちろん、それのみで事足りるわけではありませんが。

いずれにしろ、全ての事務事業が時流に沿っているか、税を投入する必要があるか、廃止すべきサービスがないかなど、機敏に対応をしていかなければなりません。

また同じことを起こさないように、と思っいただいていて
本当に良かったと思っています。

市長が最高責任者といえどもすべての事業を詳細に
検討するのは無理でしょうから、1年間何の進展もなかった事業や
事業規模のある程度大きなものなど基準を設けてピックアップ、
毎年内容と進捗をチェックをするような決まりや
仕組みがいるのではと思います。
担当者も市長さんもずっと同じ人が務めるわけにはいきませんから
個人の頑張りに頼るのは限界がありますし。

役所勤めの人は「決められたことをする」というのが自分の
仕事であって、より良い方法や企画を現場の経験から
提案して行こうという気持ちや制度的な余地が少ないような
気がします。
(去年、教育委員会の方とお話しした時や知人の市役所勤めの方を
見ていての私の印象ですが。)
常にトップダウンで、役所の人は何も考えずに言われたことを
実行すればいいというのでは、現状に合っていない事業や
見直しが必要な事業が見過ごされてしまいます。
現場からの声に市長さんをはじめとする上の方が
もっと現場や市民の声に耳を傾ける必要もあると思います。
(これは市長さんに言うべきですね。)

これから何回も当選されて古参議員になっても
今のような気持ちを持っていてくださいね^^

>のぞママさま
コメント有難うございます。
そうなんですよね、役所勤めの人は継続性を重視するので、なかなか「中止・中断」というところに後ろ向きなんです。
ちなみに、批判だらけの政策ですが私は「事業仕分け」の真価はそこにあるべきだと思っています。単なる財源確保が目的ではなく、事業継続の正当性を見極めるためにも事業仕分けは必要だと思っています。
また、一方でご理解いただきたいのが、「現場にいる職員こそ市民の気持ちが分かっている、でも組織人として市長の言うことには逆らえない(民間以上の統制力が公務員には働きます)、課題解決には●●という案がベストなのに、違うことをさせられている」という職員は思った以上に、イッパイいます。そうでないルーティンな職員もイッパイいます。
ですから、トップは強靭なリーダーシップで突き進んでもいいのですが、職員の声、議会の声、市民の声、外部の声をまずは「受けて認める」ことが必要であると思います。言う通りにするかしないかは別にして、それがトップに求められる器です。
のぞママさんの仰るように、6万都市でも隅々まで市民の街談巷説を聞きいれることは不可能です、だからこそ「器」が肝要なのだと私は強く思います。
・・・あまり長いことやるつもりはないのですが(笑)初心を忘れないために、昔に書いたブログを見返す癖をつけています。あまりにも青すぎて恥ずかしいですが・・・。
有難うございます、励みになります。

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