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【財政】ファシリティマネジメントについて(二回目)@H27.6月議会

(前回の続編)

平成25年6月議会の一般質問において私は、「公共施設の適正管理」いわゆるファシリティマネジメントについて指摘をしました。

指摘内容を簡単に説明すると、
高石市が所有している公共施設の維持管理はあまりにも場当たり的で、
将来、大規模な修繕を必ずやらなければならないのに、その時期までに現在、何の準備もされていないということです。

高度経済成長期に、多くの公共インフラが新設されました。
当時、一気に建設された建物は、一気に耐用年限を迎えてしまいます。
鉄筋コンクリートの耐用年数はその用途によってバラツキはあるものの、1998年以前の法定耐用年数「60年」と言われています。
インフラの建設ラッシュがはじまった高度経済成長期から60年たった今、
高石市の公共インフラも一気に更新・改修時期を迎えているはずです。
ちなみに設備配管類はコンクリートより耐用年限が短く、マンションでは25年~30年と言われております。

もちろん、この間、高石市は手を拱いていたわけではありません。
平成20年3月に高石市耐震改修計画が策定され、
市内の小中学校をはじめとした公共施設の耐震化が他市よりも率先されて実施されてきました。
その高石市耐震改修計画の目標年限が平成27年度と定められておりますが、それぞれの目標進捗度を教えてください。

(答弁)
公共施設は97%、民間建築物は大阪府の調査結果待ち

(答弁を受けての質問)
公共施設については、達成度合いが目標数値よりも高く、これまでの着実な業務の遂行に感謝申し上げます。
民間建築物については、達成率が確認でき次第、報告をお願い致します。

ただ、耐震化というのは公共インフラの維持管理における一部の達成であって、
耐震化されたからといって施設の改修・更新がすべて完了したわけではありません。

学校耐震化や公の施設の統廃合のときのように、泥縄で施策を打つことによって当時の納税者や利用者に負担や混乱を押し付けてしまった過去の反省を活かさねばなりません。
このまま杜撰な公共施設の管理が放置されれば、建物の改修・更新が必要な時代がやってきた年次に、
施設の再整備を財政が許さないという状況になってしまい、
利用者に不便と不安を与え、納税者に負担を押し付けるという歴史の繰り返しになってしまいます。
そうならないように、今のうちから高石市の施設の状況を白書にまとめ、
施設管理に要する歳出を平準化させる長期プランを策定し、それを支える予算確保が必要だと私はかつて訴えました。

そのちょうど1年後、平成26年5月21日に国土交通省が「インフラ長寿命化計画」を策定しました。
そのなかには、平成28年度までに公共施設等総合管理計画を市町村が策定するよう要請されています。
そして、やっと初めて、今年度(平成27年度)の施政方針で、高石市においても公共施設を適正管理していく計画を策定すると謳われました。

国から求められる前に取り組んでいただきたかったという感想を抱かざるを得ませんが、
それでもファシリティマネジメントが前に進む以上、どういった検討をしていくのかを確認し、自分自身の考えを申し上げたいと思います。

総務省の「公共施設等総合管理計画策定取組状況等に関する調査結果」において平成27年4月1日現在の策定状況が公表されています。
大阪府の策定取組状況に目を向けますと、府内すべての市町村が策定完了の予定が「平成27年度まで」と「平成28年度まで」とに分かれていますが、
高石市はどちらを回答されたのでしょうか?また、その回答した時期を教えてください。

(答弁)
昨年、「平成28年度まで」と答えました。

(答弁を受けての質問)
当たり前ですが、平成28年度までにとのことです。

ファシリティマネジメントの取り組みに関しては、まずは、公共施設の現況と、老朽度合の全体像の把握から始めねばなりません。
そのうえで、市内の公共施設の整備・維持にかかる経費を算出、それを財政計画に盛り込んで、施設の統廃合や新設をする目標を計画に入れ込んで完成となります。
自治総合センターのホームページに「公共施設及びインフラ資産の更新費用の簡便な推計に関する調査表」というエクセルデータがあり、
そこに数字を入れると、今後何年で何億円かかるというような現状把握が可能となりますので、オススメしておきます。
冒頭に申し上げましたように、平成26年5月21日に「インフラ長寿命化計画」が策定され、今まで公共施設の適正な維持管理をしてこなかった自治体が一気に、この計画を策定することとなります。
このように国が方針を決めて市町村が策定せざるを得なくなるという局面において、
その策定される計画の内容と運用をするに「やらされてる感」が否めずに主体性を欠いてしまい、
往々にして形骸化してしまうというケースが懸念されます。
本市ではこのようなことがないよう留意すべき点をあと2点申し上げたいと思います。

1点が、この計画のイニシアチブを握るのは政策推進部でなければならないということです。
施設の統廃合を検討する必要性に迫られたとき、各部課が現有施設に必要性を感じているのは当然のことです。
統廃合などできればしたくないのが担当部課の正直な思いです。
しかし、この計画に必要なのは感傷に浸る事ではなく、合理的かつ全庁的な視点をもつことです。
部課をまたいだ施設機能の統合ということも想定されます。
縦割りの弊害により本来進めるべき政策決定が疎かになってはいけません。
新しい課を創出しろと言っているわけではなく、政策推進部で進めていくべきと考えていますが、ご見解は如何でしょうか。

もう1点は、施設整備経費の財源を定期的に基金に積み立てるべきだと考えます。
これは民間建築物では当然の考えで、マンションなどでは大規模修繕のために積み立てています。
このため、マンションと併存している公共施設の場合、マンションの方は修繕費用が用意できているが、公共施設を所有している市側の財源が不足しており、更新目標年を迎えているのに修繕できないというとんでもない事例が散見されるほどです。

起債は現在の負担を将来に向かって平準化するものであり、基金は将来負担すべきものを現在に平準化するものです。
基金を積み立てずに施設の改修・更新に起債を充てるという考え方は、今まで負担を平準化してこなかったツケをそのまた向こうの世代へと負担を回すことになります。
すなわち、未来にツケを回すことです。
私は「未来にツケを回さない」という政治哲学を定めている以上、このファシリティマネジメントが一丁目一番地であると認識しています。

安定的な公共施設マネジメントの推進のためには、毎年一定の財源を割き続け、修繕が必要な時期にツケを回さないよう確りと予算を確保されることを要望いたしますが、ご見解をお聞かせください。

(答弁)
<計画の主導について>
公共施設全体の老朽化状況などの現状を把握し、また、将来の財政見通しや人口動向等を踏まえ、長期的な視点に立って、施設の維持管理についての基本的な方針を定めることとなっています。
以上のことから、計画の策定に当たっては、施設所管課、財政担当課、財政管理担当課とも連携し、全庁的に取り組むべきものと考えております。
<基金への積立について>
昨年、高師浜運動施設の駐車場を有料化する際に、当該収入は、基金に積立し、今後の修繕にあてるなどの取り組みを進めてきました。

(答弁を受けての要望)
計画の進め方については全庁的に進めていくべきとのことです。
基金への積立については高師浜運動施設を受益者負担の趣旨に従って、利用料を基金に積立て維持管理費用に充てるとのことですが、これは全ての公共施設の一部にしかすぎません。
市役所、小中学校、公民館、老人福祉センター、新設されたばかりの体育館などは「どうやって維持管理していくのか」については、計画も基金も示されていません。
このことは喫緊の課題であると認識を改めていただくようお願い致します。