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【子育て】加茂保育所の耐震化に伴う民営化 @H23.8月臨時議会

本日で臨時議会が閉会しました。2つの議案でしたが、思い入れの強い議員さんも多く、タフな議論が繰り広げられました。

 

以下は、加茂保育所民営化における補正予算の私の賛成討論です。

 

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畑中政昭です。高志会を代表し、2号議案の平成23年度高石市一般会計補正予算について賛成の立場で討論をいたします。

ご存知のように、今回の補正予算の内容は、加茂保育所を民営化するための選考委員の報酬が組み込まれている予算です。そして、保育所の民営化という一つのファクターだけではなく、保育所の耐震化という行政課題も包含された議案となっています。

そもそも保育所だけではなく、未耐震の公の施設をどのような財源対策を講じて耐震化していかなければならないかを今、行政と議会は問われています。つまり、限られた財源でいかにして子どもたちの安全を確保するか。を念頭に置いて、考えなければなりません。

そこで委員会でも議論になった安心こども基金を活用し、加茂保育所を現在のシビックセンター用地に移し、新設することで加茂保育所の耐震化を実現しようというものです。そして、安心こども基金の活用は、保育所が民間法人でなければならないということで、今回の保育所の民営化が俎上にあがっているわけでございます。

さきほど申し上げた「限られた財源で子どもたちの安全を確保する」ためには、この安心こども基金を活用し、民営化して建替えする手法が最も効率的なのかどうか検証しなければなりません。

それには3つの手法が考えられます。1つは、公立保育所のまま建替えする方法。2つめは、公立保育所のまま耐震改修をする手法。3つ目が今回の民営化による建て替えという手法。

このなかで財政負担が最も軽いのは、安心こども基金の活用であるということは委員会の中でも明らかにされています。なお、公立保育所でも交付税算定されているという意見もありましたが、それはあくまで算定上の理論値であって、実際に高石の財布にはいってきているかどうかは把握できるものではありません。ですので、そんな不確定なものを試算に入れれるべくもなく、全く財源根拠のない試算になるということは申し添えておきたいと思います。

さて、公立保育所の役割ということですが、私は公立保育所という存在は、高石がどのような保育を果たしていくのかという民間保育所に対しての指針となるような存在になるべきだと思っています。障がい児保育なども取り沙汰されておりますが、民間の保育所でも受け入れてもらえるようになってきました。もはや、福祉が優れているのが公立、サービスが優れているのが民間という世間的な感覚は、希薄になってきております。

また、労働組合で組織されている高石のこどもを守る市民連絡会という団体が発行されているチラシを拝見し、私は大変驚きました。そこには、行政に対する指摘が書かれているのですが、自分たちで子どもの為に公立保育所を変えていきましょうというような自発的かつ自立的な文章が一切ありませんでした。職員の労働組合というと、公務員で組織されているわけですから、公立の保育士もその一部なんでしょう。自分たちの職域が無くなるのは淋しい、何とかして欲しいという感情は百歩譲って理解できたとしても、公立保育所も子どもたちの為に、保護者のニーズに合わせて「こんなサービスをします!」「こんな変革をします!」というような前向きなアプローチが書かれていないことに、私は本当に驚きました。そんな仕事に対する情熱があれば、公立保育所だけでなく公立の幼稚園だって「我々も残すべきだ!」というような思いをもつことができるんですが、そんなマインドで仕事をされていたのでは、少しでもいい法人に民営化する方が子どもたちにとってイチバンいい方法だと、生後6か月の娘をもち、保育所に預けることになるであろう父親の立場としても、そう感じざるを得ません。職員さんには失礼ですが、このままでは、私は公立の保育所に預けるという選択肢を選びたくないとさえ思っているのが正直なところです。

そして、これは現場の責任によるところも大きいでしょうが、それぞれの部署や市長のリーダーシップによって改善されるべきものと考えております。現況を招いたのは、そのリーダーシップの発揮が彼らに届いていなかったという事実もあると思います。そこは、当局として真摯に受け止めていただきたいと思います。

そして、残された園で、しっかりと公立が果たすべき役割というものを見出して、高石の子どもたちを育んでいって欲しいと思います。もちろん言うまでもありませんが、それでも現場の意識が変わらない、その役割を民間がすべて担えるというようなことがあれば、行政として毅然とした決断をしていただきたいと思います。

さて、繰り返しますが、今回の議案は、子どもたちに安全・安心な保育所を提供するということ、そして、より優れた保育サービスを子どもたちに提供するということの是非を問われているわけです。

たとえ、それがどんなに素晴らしい政策であろうと、どんなに労苦の末に築かれた政策であろうと、政治の為すことには100%の支持は絶対に得られません。

100人いれば100人の賛同を得るのは、不可能なことなんです。だからこそ、少しでも賛同を得ようとする努力を怠ってはいけないのです。説明責任というのは、説明したという結果が重要ではなく、政治の為す結果をどのように納得してもらえる努力を払ったか、ということが説明責任を果たすということの最大目的であります。

あらゆるシュミレーションを想定されて、今回の手法を選択されたとのことですが、保護者からみれば、驚天動地と受け取られるでしょう。だからこそ、行政がしっかりと説明責任を果たして、一人でも多くの保護者の理解を得れる最大の努力をするようにしてください。

高石保育所の民営化の際も、反対に署名をされた方も、民営化後、サービスがよくなって何故反対したのか分からない、というような意見も聞いておりますが、それは、当時、行政が説明責任を果たした努力によるものだと私は認識をしています。

そして、説明責任という責務はわれわれ議会にもあります。われわれ議員は、市民の声に対してトンネルではなくフィルターでなければなりません。ときにはイエス、ときにはノーと応え、ノーの場合にはしっかりと説明責任を果たすということがわれわれ地方議員にも求められています。地方分権の流れのもと地方議員の能力と覚悟が現在問われています、と同時に地方自治体の市民の民度も問われています。こんな時代の流れにあるからこそ、今一度、我々地方議員は行政を敵視するのではなく、行政と市民の架け橋的な存在となって、政治に対する不信感を拭う努力をしなければなりません。

最後に、山本常朝氏の葉隠聞書に「水清ければ魚棲まず」という言葉があります。これは澄み渡った綺麗な水では魚は生息することができない。プランクトンや藻など、一見すると綺麗とは言えないが、しかし、そのような場所で魚は育つ。という意味です。

市民や職員を魚に例えると失礼なのですが、ひたすら水を綺麗にすることよりも、住みやすく、働きやすい高石にしていくことがチェック機関の議員として肝要であると考えています。

それを、私一人ではなく、議会の皆様と一緒に思考して、実現してまいりたいと思います。今回の議案を審議するうえで、そのような意識を私が抱きましたので、申し上げたところです。皆様のご理解をいただきまして、一人でも多くの賛同を得れるようお願い申しあげまして賛成の討論といたします。有難うございました。