畑中政昭公式webサイト

給食費の公会計について②校務支援という観点から

前回は学校給食の歴史について記しました。

おさらいすると、学校給食の会計事務は学校がおこなっており、その会計情報は決算書に記載されない(=不透明)状態にあります(S32文部省回答)。

不透明な会計情報であれば、以下のような不具合が生じます。
平成28年12月議会のことです。
畑中「学校給食の収支状況を教えてください。」
職員「学校給食会がおこなっているので、答弁を控えさせてください。」
畑中「では、滞納件数(H27:66件)の金額と滞納による減額分の補填をどうしているのか教えてください。」
職員「こちらも答弁を控えさせてください。」

このように、滞納件数は公開できるのに、それ以外の情報は開示できないというブラックボックスになってしまっています。
給食費の滞納問題が取りざたされている昨今において、収支状況も滞納金額も補填の方法も議員が把握できないという状況は問題と言わざるを得ません。
そういった観点からも公会計に移すべきと私は考えています。

さて、もう一つの公会計化を進めるための観点。
それが表題にもあるように「校務支援」です。

いま、学校の先生は大忙し。

  • 日本の教員の労働時間(53・9時間)はOECD(経済協力開発機構)加盟国の中でワースト1位。
  • 文科省の平成28年度『教員勤務実態調査』によれば、国が「過労死ライン」としている週20時間以上の「残業」をこなす教員は小学校で33・5%、中学校で57・7%に。
  • 「ブラック部活」といわれ、放課後の部活動と以降の事務作業を含めると「16時間/日の拘束時間」がほぼ毎日続いているケースも。
  • タイムカードなどで労務管理されている学校はわずか1割(全国で)。

以上のような状況下でも、保護者からの非常識な苦情や過剰なまでの聖職者意識が色濃く残っています。

我が国の学校教育の特徴は「教科指導」「生徒指導」「部活動指導」が一体的におこなわれており、「日本型学校教育」として国際的にも高く評価されています。
しかし、教員が授業等に専念しにくくなっているようでは本末転倒。
文科省からも「不断に見直す」と強い決意が示され、平成28年6月に校務(学校の仕事)を支援するタスクフォースを策定。
「部活動を外部指導員に」「ICTの活用で校務支援を」「長時間労働の見直し」などの工程を作成し、そのなかに「給食会計業務から教員を解放する」という項目も記されました。

このように、給食業務の公会計は、日本の教育現場を俯瞰すれば善滝的必要性に迫られた着手といえます。
平成30年度からはガイドラインも策定され、この機会を逃すことは「国家的な教育問題の無理解」と認識せざるを得ません。

子供達を取り巻く教育環境のためにも、現場は教育指導に、教委は事務に専念していく棲み分けがベストであると私は考えます。

kyushoku-thumbnail2
高石市の学校給食自体はすべての中学校で実施済み
しかも、各学校で調理されているから、できたての温かい給食が食べれます。
近隣市でもなかなか追いつけなような誇るべき取り組みだからこそ、その業務もキチンとおこなってほしいと考えます。
(※写真は高石フォトブログから引用)