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佐々木信夫氏の講演

大阪府市議会議員研修会というものは、府内の市議会の議長会が主催となって、1年に1度、大物講師を招いての研修会です。

今まで片山善博氏や浅野史郎氏などの話を初めて聞けたのも、この研修会です。

 

今回は、中央大学大学院教授の佐々木信夫氏です。

内容も、非常に示唆に富んでおり、地方議会について現状の論点整理をされ、これからどうあるべきかを、お話されました。

 

ざっと、気になったところのメモ ↓

 

・戦前は、知事・市長が議長も兼ねていた。このことが名残となって、現在の議長に議会招集権が与えられてない。

・「政治」は執行機関ではなく、意思決定機関である議会を指す。意思決定こそ政治メカニズム。

・大都市に特例を与え続けてきたのが、政令指定都市。

・基礎自治体を強くするのが、国際的な流れ。※市町村→基礎自治体 都道府県→広域自治体

・地方議会のありかたが全国一律というものが、いかがなものか。

 → 監視機能への特化論 or 立法機能の強化論 or 議員内閣制志向論

・都道府県の空洞化は間違いなく進んでいる。

・集権体制の利点→統一性、公平性

・分権体制の利点→多様性、迅速性

・中間政府(都道府県)に60兆円も要らない。イギリスのGLCなど、基礎自治体を中心に住民サービスを考えるべき。

・資源の再分配はできない。選挙があるから、己の得点欲しさに奔走する議員がいてしまう事実。→選挙では、「サービスを多く、負担を少なく」を言わなければ、集票できない仕組みとなっている。名古屋のような大衆民主主義に陥る危険性も。

 

上から5つ目の点は、興味深い指摘です。

「議会はチェック機関」なんて言われていますが、チェックだけ果たしていればOKではありません。

それでは、住民の需要に応えていないと考えています。だからこそ、政策立案能力が要請されています。

また、議員にも執行責任を付与すべく議院内閣制という論も俎上にあがってきています。

結論から言うと、この3つを網羅できる議会は存在しません。というか、限界です。

だからこそ、この3つのうちに「自分のまちはどの議会スタイルを選択するか」が問われているのです。

 

私は、真ん中の「立法機能の強化」が最も求められており、自分にも合っている議員スタイルです。

 

チェックに特化しても、「○○をチェックしました!」「○○を未然に防ぎました!」なんて声高に議員が唱えても、「コイツ、よう、やってるな」と思います?

「水清ければ魚棲まず」という諺のように、こまかな倹約が是とは限りません。チェックが行き過ぎると、職員は働きにくくなります。

だから、「チェック」より「政策実現」。「○○を実現しました!」「○○が達成しました!」という議員スタイルの方が、住民も分かりやすいし、なにより我々政治家に求められている究極の使命は「世の中を良くしろ」ということですから、そのためには、実現力が必要なんです。

 

もちろん、チェック力も必要ですが、これからは、何かに特化した機能というものが求められます。議会も行政もまちづくりも住民サービスも。

それを選択していくことこそ、地方分権による地方のあり方だと思います。