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【地方分権】事務の共同処理、機構改革 H23.3月議会

  地方分権~事務の共同処理の提案 

◆畑中政昭 

 地域主権や地方分権というものが、最近いろいろな場所やいろいろなところでその議論が活発化されてきているところでございます。そういった流れの中で、本市はどのようにお考えであるのか、このことをお聞かせいただきたいと思います。
 この地域主権というのは、そもそもは、大正13年の、石橋湛山翁が中央集権、画一主義、官僚主義の破殻というところを東洋経済新報の社説で訴え、そして立憲政友会のポスターに使われたりしておりまして、大東亜戦争が始まりました。戦時中は、全体主義、中央集権というふうに一時影を潜めました。そして、今また平成5年の、地方分権の推進に関する決議を衆参が全会一致で可決し、そこから機関委任事務制度の廃止や三位一体の改革など、地方へ権限を移譲するという流れが今活発化をしてきております。
 また、近年の経緯でございますけれども、平成20年5月28日の地方分権改革推進委員会、この第1次勧告におきまして、基礎自治体への権限移譲と自由度の拡大、具体部分といたしましては、都市計画をまた府から市に移譲していくことなどが示されました。また、同年12月の第2次勧告では、介護保険に関する義務づけ、保険料を独自で低廉にできない枠づけ条項について、メルクマールという該当・非該当の判断がされました。
 例えば、保育所分野では、今は屋外遊技場の面積1人当たり3.3平米以上ということが定められている施設基準や、満4歳以上の幼児がおおむね30人につき1人以上の保育士が設定されている職員の配置基準などを地域の実情に合わせた運営にすることや、また漁港の分野では、漁港区域なども市町村が独自に指定できることなど、国から地方へと仕事が任されるようになってきているわけでございます。
 市町村は、有権者に最も近い存在でありますので、このような社会の趨勢は非常に喜ばしいことなのですが、果たして今の自治体、高石市もそうですけれども、今の自治体にこれだけの仕事ができるキャパシティーがあるのか否かといったところが、私の懸念している部分でもございます。
 ましてや、この高石市は、財政健全化ということで人件費の削減を行ってまいりました。そういった現状がある中で、本市は権限移譲、すなわち移譲される仕事、財源と権限をどうこなしていくのか、このことについて、具体的なお考えがありましたらお聞かせいただきたいと思います。
 
  ◎次長兼企画課長
 今の議員の質問に対しまして答弁させていただきます。
 議員が今おっしゃられたように、平成18年12月に地方分権改革推進法が成立しております。その法律の中では、同法に基づきまして設置された地方分権改革推進委員が、平成20年5月に、基礎自治体への権限移譲の推進を目的に第1次勧告を行い、都道府県から市町村への権限移譲すべき事務が示されております。
 また、大阪府におきましても、大阪から地方分権改革を強力に推進していくというところで、21年7月に特例市並みの権限移譲に向けた基本的な考え方というのを策定いたしまして、本市には権限移譲候補事務として76の事務が示されておるというところであります。その76の事務に対しまして、本市におきましては、22年度から24年度までの3カ年で76の事務のうち24の事務を受けるというような形で考えてございます。
 その考え方でございますが、住民に身近な事務は住民に一番近い基礎自治体が担うことが重要であると認識しており、本市といたしましても、できる限り府からの権限移譲を受けるという方針で検討を行ってきたところであります。
 しかしながら、今回の権限移譲におきましては、府から本市に提案されました76の事務のうち39の事務が環境あるいは建築等などの専門職を必要とする事務であったというところであります。これらの事務の権限を受けますと、新たに本市で専門職として採用した職員に1人分の業務量に満たない事務を担当させることになる、あるいは行政のスリム化を進めている中で非常に非効率となる、また1人の職員に退職まで同じ事務を担わせることになる等の点から、人員管理上も問題があるということを考えてございます。
 今回の移譲に当たりましては、こうした問題を踏まえながら、府から提案されました事務を個々に精査しまして、人員管理上問題が発生しない範囲で、本市において適切に処理できると判断した事務の移譲を受けるということにしたものでございます。また、こうした問題を解決するために、広域連携などの方策を検討していく必要があると考えてございます。平成23年度以降、さらに権限移譲を進めていくために、近隣市とも意見交換を行ってまいりたいというところで考えてございます。
 
  ◆畑中政昭
 府の権限移譲につきましては、先日、朝日新聞の朝刊にも載っておりました。そこには高石が31%の権限委譲、理由は職員確保に難があるとのこと。仰る様に建築や環境の専門分野の方の職員を確保するのに、府からの権限移譲というのは少し難しいということです。
 予算委員会の資料でもあったんですけれども、高石市は平成22年度と23年度のみ示しているわけでございますね。平成24年度がまだ示されていない。この権限移譲は時限立法で、平成24年度までの権限移譲であるということで認識をいたしております。
 どうしても人員の確保というのがネックになってきているわけでございます。そこで、次長もさっきおっしゃっていただいたんですけれども、私から提案をさせていただきたいのが、事務の共同処理です。例えば、消費生活センターの事務委託。この事務委託というのは、泉大津市と和泉市とで一つの事務を、共同で処理し合う事です。一部事務組合というのは法人格を有しておりますので、制限もかかってくるのですが、単なる事務委託というのは、この消費生活センターは高石市で行うと。和泉市や泉大津市の住民の方もこちらで電話で相談できると。ただ、、消費生活センターの定員である3人だけでは対応できないから、あと1人ずつふやすといった形で各市からご負担いただくと、これが事務委託料となるわけです。これが一般的な共同処理です。
 ただ、これには、少しデメリットがあります。委託側がなかなか発言できないと言ったらおかしいですけれども、受託側に有利な形になってしまいます(堺市と高石市の消防事務が典型的な例)。それがデメリットとして挙げられるのですが、回避策として高石市の事務も委託してもらい、違った事務を相互委託することで委託側と受託側のそれぞれの立場によるデメリットは軽減されるわけです。そういうことで、府からいただける仕事というのを考えていただきたいと思います。
 例えば、一つの権限移譲の仕事が、これは0.5人分の事務負担が必要という仕事があれば、泉大津市と組んで、1人分の負担に増やして賄う人員を二つの市で雇用するか併任していただくか、こういった共同処理をすることで、府からの権限移譲や国からの権限移譲を受け入れる体制をつくっていくことが必要であると思います。先ほど、次長もそのようなことは視野に入れているというふうにお答えいただいたんですけれども、それは平成24年度に向けて100%受け入れるということで、そういったことも視野に入れて100%を目指すということなのかどうか、ちょっとその辺、突っ込んだご答弁をいただきたいと思いますので、お願いします。 


  
   ◎次長兼企画課長
 議員おっしゃいましたように、広域連携体制ということで、今回の中でも五つの枠組みというのが示されております。一つ、泉北地域におきましては、泉大津市、忠岡町というような枠組みもあるというところであります。
 本市におきましても、今、消防の事務委託ということで堺市に事務委託をしている中でも、権限移譲を三つほど、危険物に係る取り扱いということで今後進めていくというところもございます。また、和泉市、泉大津市との中でもそのような事務の分担というところで、広域連携的なことも考えていくということもありまして、今後、残りの事務といいますか、今回受けます24以外の事務につきましても前向きに検討していくというところで考えてございますので、よろしくお願いいたします。
  ◆畑中政昭
 はい、わかりました。前向きなご答弁と拝察いたします。
 隣の市では認可はされるけれども、高石市ではできないといったようなことがあれば、やはり経営者の方とか住民の方の流出というのはますますふえていくのかなと思いますので、しっかりと権限移譲を受け入れる体制をつくっていただきたいと思います。
 誤解を恐れずに申し上げるんですけれども、これからは住民のニーズの集中と選択というのを行っていかなければならない時代にあるのかなと思っております。
 特に、この権限移譲が盛んになってくると、どうしても最終的には受け入れられない事務、受け入れられる事務というものをかなり精査していかないといけないわけですよね。ありていに言うと、特色をつくるというところにもなるのかなというふうに思います。例えば、高石市は何でもかんでも平均的な事務をやっておりますというよりも、やはり一つ特色をつくっていただくというビジョンも同時につくっていただきたいんです。あれもやります、これもやりますといった市の運営も重要なんですけれども、それよりも、やはり高石市はこれが一つ目玉なんですよというようなことをこれからしていくのが、この地方分権なり地域主権であるのかなと、個人的に考えております。
 例えば、福祉に特化したまち、教育に特化したまち、経済に特化したまち、いろいろとありますけれども、高石市はどのようなビジョンを描いて、地域主権という非常に厳しい時代の中の自治体間競争の波をどのように克服していくのか、こういった長期的な展望や大局観というのが求められているわけでございます。
 今までは、高石市は財政難や消防問題、耐震問題、保育所民営化等、さまざまな緊急課題を乗り越えてきたわけです。市長の問題処理能力には、私、一定評価をしているんですけれども、しかし、それはあくまで緊急課題であって、示されたビジョンへの道のりではないのかなと感じるところも正直あります。
 大局、すなわち、高石市はどのようなまちづくりをしていくのかという大目標が必要でございまして、そこから中局、小局と縦糸を結んでいくこと、大局までのプロセスを目標からの逆算で高石市を育てていただきたいと、このように思うわけでございます。市長が示されるこの高石市、どのようなまちづくりをこれから描いていただけるのか。第4次総合計画を策定されるということですが、10年というのは、私から感じたらまだ中期的なんですよね。こういった中で、本当に市長が思い描く、次世代にどのような形でバトンタッチをしていくのか。高石市、思い描くビジョンというのが、もし具体的なものがありましたら、ちょっと市長にお答えいただきたいと思います。 

 

◎市長
 畑中議員のほうから、権限移譲、また地方分権、地域主権というふうな観点から、今後のビジョンというお話でございます。今、担当からご説明申し上げましたように、当然、地域主権、地方分権ということになりますれば、本市の6万人の行政規模ですべてがすべてということには至らないということはご理解いただけると思います。
 当然、この広域の連携ということは、一つの重要な要素であるというふうにも思っております。これまでの間も、泉北環境あるいは泉北水道、また消防関係等々、近隣市との連携のもと、いろんな事務を処理しておるわけでございますが、より一層そういったことが迫られてくるということもあろうかと思っております。
 また、確かに、私は市長就任以来、自立再生ということで、財政健全化と、これは急務の課題でございましたし、そういう直面する財政危機に対して、まずは財政健全化ということが必要であったわけでございます。これは現在、第四次の財政健全化計画ということを平成24年度を目途に進めております。そういったことを達成していかなければならないと。
 もちろん、緊急課題ということの対応もしてまいりました。そういう緊急課題を処理しながらも、やはり特色あるこの高石市のあり方、これは議員ご指摘のように、第4次の総合計画をいよいよこの平成22年度に基本構想、また総合計画の本体の策定という手はずになってまいりますので、その中で明らかにしてまいりたいと思います。また、学識の先生方、また議会のご代表のご意見等々、いろいろ各界の方々の審議委員会もできましたことから、ご意見を参考にしながら、行政といたしましても進めてまいりたいと思っております。
 やはり、市民が、皆様が、この高石市というまちを、コンパクトなまちでございますが、こよなく愛していただいておると。私は、これはやはり大いなる、大事な点ではないかなというふうに思っております。そういう、まず高石市という自立した一つのスピリットと申しますか、そういったものを大事にしながら、市民の皆様方の、当然、福祉も教育も含め、いろんな分野で、もちろん、これは時代の変化の中でいろいろと変化をしていくことも必要でございますが、いずれにしましても、そういう市民の皆様方がこの高石市というまちを愛していただいているということをしっかりと受けとめまして、その方向性を定めてまいりたいと思っております。現時点でのお答えということでございますが、どうかよろしくお願い申し上げたいと思います。
 以上でございます。
◆畑中政昭
 私も、財政健全化ということを市民の方にしっかりお示しし、当選させていただきましたので、この財政健全化という課題は何としてもしっかりと克服といいますか、この危機を乗り越えなければならないという思いは同じでございます。
 ただ、その財政健全化は、今、大体どこの自治体でも行っているところでございます。高石市も、経常収支比率がワーストツーやったという、非常に危機的状況ではあるんですけれども、それと同時に並行させていく、いわゆる次の高石市の、先ほど申し上げました特色というのを今、水面下でもいいので、ゆっくりと育てていってほしいというふうに思うんですよ。
 財政健全化を達成しましたと。それでは、仮に財政が潤沢になったとしましたら、じゃ、どこに予算を振り分けていくのかという、そこからまた新しく一つのまた波を越えなければいけないんです。そうなったときには、もうほかの自治体はまた次の波を乗り越えているような気がして、僕は非常に不安なんです。
 僕も、市民の方から許されるならば、何十年もこの高石市のために頑張っていきたいと思っていますので、財政健全化を果たした次は、じゃ、どうするのか。何を特色としてこの高石市の売り物にしていくのかということを同時に考えていただけたらというふうに思っておりますので、それは要望いたしております。
 私が考えております高石市の特色、つくっていただきたい特色というのは、やはり教育でございます。
 近年、本当に社会現象ともなっております、我々のような世代の若者の政治への無関心、モラルハザード、行き過ぎた平等と自由により権利主張のみが声高に叫ばれる中で、次世代をどういうふうに育成していくのか、また学力向上、モラル、道徳教育、歴史教育、情操教育などを充実させ、他市から見たときに、高石市の特色は教育であるというふうに思っていただけるような、また教育をアピールできるようなまちづくりをしていただきたいと、私は個人的に考えております。
 今回の、スクール・ニューディールの電子黒板の導入やICT関連もその一助になるのかなというふうに認識しておりますけれども、将来にこの国を背負う人材を育てていくことが、本来の学校の役割であるわけでございます。
 だからこそ、どこの自治体にも負けていない教育を子どもたちに与えたいというふうに、これを高石市にぜひやっていただきたいというふうに思っております。
 本当に、市長が先ほどおっしゃいました自立再生ということですけれども、その言葉、私も賛意を表しております。しかし、それは同時に大変難しいことでもあると思います。市民の方から愛される高石市と思ってもらえるまちづくりも大事なんですけれども、それをも越えて、他市の市民からあのまちに住みたいと思ってもらえるような高い志を持って、さらに進めていただきたいというふうに思います。
 教育でも福祉でも、何でも財源の確保というところが非常に、同時に考えなければならないところでございます。自治体の健全化には、必ず「入るをはかりて出を制す」の理念で財政健全化をどこもしてきているわけですけれども、高石市はこの入りの部分というのが、まだまだ掘り起こせる余地があるのではないのかなというふうに思っております。
 高石市は地勢にも恵まれまして、面積の半分が臨海工業地帯ということでもございます。今まで、企業立地促進条例や敷地外緑化など、さまざまな面で企業に頑張っていただけるような策を練っていただいたわけでございますけれども、企業の皆さんから見ると、他市と比べて、果たしてこれだけの企業が集積している高石市がこれだけの策でいいのかなというふうにも、ちょっと同時に考えてしまうわけでございます。
 この高石市だけではなく、先ほどちょっと広域連携という話もありましたけれども、さまざまなこのベイエリア、堺泉北のベイエリアで全体的な構想を練っていただきたいと思います。
 施政方針のほうでもありましたポートセールスも、高石市の港だけでなく、そして堺泉北港だけでなく、阪神港で入港料をちょうだいするという形に平成19年度からなっております。小さいながらも阪神の一角を背負っている高石市は、やはりどこに視点を合わせるのかというのは関東ではなく、世界に目を向けていただきたいというふうに思います。神戸港も、震災の影響から非常にそういったコンテナの取り扱いが減少しておりまして、釜山にも抜かれておるわけでございます。
 そこで、小さいながらも、高石市独自の経済戦略というものを打ち出していかなければならないというふうに思っておりますけれども、なかなかこの高石市の経済課という、現下の状況では非常に難しいのではないのかなというふうに思っております。というのも、現在の経済課といいますのは、農業や水産や労働や、さまざまな仕事が広範にわたってしまっているわけです。この半分、臨海工業地帯がある高石市が、それだけたくさんの仕事をさせられているのが経済課であって、やはりこの経済課とは、この形でいいのかなと、ちょっとそれはかねてより疑問を抱いておりました。経済課の課長の肩を持つわけではないんですけれども、お一人で業務を処理するのに大変、なかなか一つに特化し、集中して戦略を練れないのではないのかなというふうにも思います。
 そこでお願いしたいのが、組織の再編です。このまちのセールス、企業との連携、企業からのCSRの活用、人口増に向けた戦略を練る経済戦略課の創設を僕はお願いしたいと思います。
 箕面市では、民間出身の方の営業課というものがつくられまして、人口増に向けた動きが非常に活発に始まっております。箕面市のホームページを1回ごらんいただきたいと思うんですけれども、まずホームページのトップページに「箕面に住む?Ready to move?」という、引っ越しする用意はできていますかといったような見出しがありまして、そこをクリックすると、ここまでかというぐらい、まちのアピールがされているわけなんです。これも民間のノウハウを上手に生かして、適材適所ができているなというふうに思います。
 一足飛びに民間出身者の採用は難しいかもしれませんが、まちの経済、企画立案、企業との連携を、政経一致の大同団結をするような飛躍した高石市にするために、経済戦略課というものが、必要なのではないのかなと僕は思いますけれども、再編となれば市長のお考えやと思いますので、何か考えてあるところがありましたら、ちょっとお答えいただければと思います。
◎政策推進部長
 ご答弁申し上げます。
 組織機構の見直しにつきましては、さきの予算委員会の中でもいろんな意見をいただいていますので、今後、部また課のヒアリングを通じまして、どのような組織体系にすればいいのかというのを検討してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。