【財政】土地開発公社と三セク債① @H25.3月議会
少し難しいですが、とっても大切なお話です。
それは、来年度予算に入っている約50億円の莫大な起債の発行、「第3セクター等改革推進債」いわゆる「たたみ債」について。
これは、高石市が債務保証している土地開発公社のどうしようもない借金を、高石市が銀行から原資をお借りして、土地開発公社の代位弁済を行うというもの。
土地開発公社についてはコチラのブログをご参照ください。
いずれにしろ、高石市財政が抱えるアキレス圏であり、かつ、金利が金利を生む構造となっている土地開発公社の健全化は、財政健全化の最大の課題であり急務であります。
その土地開発公社の保有高は平成18年度で約128億円のピークを迎え、その後着実に保有高を減らしてまいりました。
平成24年度においては約93億円まで削減させてきました。(下図参照)
削減するには借金で買収した公社の保有する土地を市が買い戻さなければなりません。
そして、これをするには3つの手法があります。
1. 土地を買い戻し、事業を中止し、取得に要した価格と現在の価格との差損覚悟で売却をする。(第7保育所用地など) 2. 土地を買い戻し、事業を継続する。(南海中央線、新村北線など) 3. たたみ債を活用する。公社の抱える全ての負債をローンに切り替えることができる。 |
今までは、1と2で公社の健全化を進めてきました。
ここで、ちょっと考えてみて下さい。2の手法、違和感をおぼえませんか?
公社の借金を減らすのに、事業の継続って・・・普通の経営感覚でいうと、負債があるなら事業を中止して、買収した土地の売却益をもって赤字額を減らすのが民間会社のやり方ですよね。
しかし、それを簡単にさせてくれないのが土地開発公社と地方自治体の仕組みなんです。
例えば、上で書いてある第7保育所用地。これは、7つ目の保育所を設立する目的で先行取得した土地です。しかし、少子化、景気の変化などがあって結局7つ目の保育所は設立されることなく、この土地は長年放置されてきました。土地買収の原資は銀行からの借金なので、当然金利は発生します。そして、平成20年の売却時にはどうなったか。
Ex).第7保育所用地の事例 【売却益】 ・ 現在の地価・・・約2億6000万円 【買い戻しに要した費用】 ・ 市が公社から買い戻した金額・・・4億399万円(平成20年度) (内訳) ・ 取得金額・・・8,434万円(昭和48年度) ・ 利子・・・3億1,922万円 ・ 手数料等・・・42万円 【差損】 ・ 収支差額・・・約-1億4000万円 |
つまり、昭和48年から平成20年まで塩漬けにしてしまった結果、1億4000万円を損失したわけです。不動産屋さんなら、この損失を埋める分の利益を出すことができればチャラになりますが、高石市はそうはいきません。皆さんの税金で損をしたわけですから。これも苦肉の策として、賛成をしました。保育所を建てるわけにはいきませんし、放っておくと金利上昇は防げないのです。
このことから、1の手法は税金という性格がある以上は、望ましい手法とは言えません。
それだけではなく、この差損は高石市が単年度で負担しなければなりません。公社が保有する残りの土地を全て、事業を中止して少しでもいいから売却しようとすると、その差損は約40億円と試算されています。
1年間で40億円も支払う体力は高石市にはありません。税金で損失を出してもいいから、毎年、少しずつでも売却していこうとしても、第7保育所用地の例で考えると約30年かかります。もちろん、その間は金利が発生します。
だから、高石市は補助金などを活用しながら事業を継続していっているのです。いちばん大きいものでいうと高南中学校の東側から北進している南海中央線です。これもかつては、堺市の阪堺線(錦綾町)から岸和田まで敷設する計画で、高石や泉大津が先行取得したのですが、税収減で事業が停滞し、塩漬けになってしまってました。やっと最近再開できたということですが、これは道路を通したいというのが主目的ではなく、あくまで公社の健全化のためであるというのが外せないポイントなんです。
さて、公社は健全化されてきましたが、まだまだたくさんの土地を保有しております。
その保有高は平成24年度末で約93億円。そのうち、約13億円が無利子貸付なので利息が発生しません。そして、今年度、たたみ債を含む約60億円の買い戻しが予定されており、残りは事業継続する南海中央線のみとなります。(表参照)
平成25年度:土地開発公社の土地処分予定
買戻し |
東羽衣清算事業団用地 |
7億1,700万円 |
たたみ債 |
50億6,300万円 |
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無利子貸付 |
12億8万4,000円 |
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南海中央線(残地;事業継続分) |
22億9,200万円 |
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合計 |
93億900万円 |
「たたみ債」を活用すると利息の生じる土地保有高が、南海中央線用地の22億9,200万円のみとなります。この93億円の負債を抱える公社を効果的に解消できる「たたみ債」について次のブログで紹介したいと思います。