臨海部の防災はとっても切実というお話。
南海・東南海・東海地震による津波被害を考えたとき、浸水エリア内にある戸建て、保育園(松の実園も)、老人福祉センター、また要支援者など浸水エリア外までの避難が困難な箇所が想起されます。
今回のブログで知ってもらいたいのは、二次被害を防ぐために浸水エリア内で地震が発生しても、避難せずに作業をし続けなければならない方々の存在です。
それは臨海工業地帯で働いておられる保安要員という方々です。
コンビナート地区では危険物等を取り扱う事業所がたくさんあるので、これらの二次災害を防止するために保安要員と呼ばれる彼らは緊急停止措置を行わなければなりません。
工場関係者からお話を聞くと、それに要する時間は、最速30分。
津波がやってくるまで約90分と想定されています。
浸水エリア外まで避難しようと思えば、最速30分で正確に緊急停止させ、60分以内で避難しなければなりません。
高石市の工業地帯は、大阪府でもとりわけ大規模な石油関係の重化学工業が存在していることから、「大阪府石油コンビナート特別防災区域」と大阪府の権限で避難計画などが策定されています。
そのなかで、大阪府の想定で「避難に要する時間が90分以上」とされている地区が高石市にあります。つまり、30分で停止措置をし、60分以内で避難することが不可能だと想定されている地域が高石市に存在しているということです。
距離的な理由があろうと、それは内陸部に及ぶ二次被害を防ぐために。
彼らが津波から身を防ぐ手段として、工場の自社内に避難ビルや津波よりも高い建物に逃げ込んで、波がひくのを待つしかありません。
府の想定では100名の保安要員がおられるとのことです。
災害現場で使命のためとはいえ、救助活動をおこなう自衛隊・消防・警察の方々に私はとても敬意を表しますが、一方で、二次被害を防ぐために、津波が向かっているのにすぐさま避難せず、緊急停止措置を行い、津波で揺れる、もしかしたら倒壊するかもしれない建物で津波をやり過ごさなければならない方々もおられます。
内陸部よりも海側で津波を闘う人たちがおられることに、私は本当に心から敬意を表したいと思います。
同時に、とても歯がゆく、何とかしてもっと安全にできないかという問題を日々思案しています。
行政として、津波避難タワーの建設や、高速道路を一時避難場所にできないか検討されています。防潮堤などのハード整備もしていかなければなりません。
市民の皆さんには、迅速で避難するために津波に対して正確に対応していただきたいと思います。そして、こういった現場で命を懸けて働いておられるという存在も知って欲しいと思います。
臨海部の危険物はたしかに不安要素ではありますが、そういうのもひっくるめて高石市という街で、そういうのもひっくるめて防災という問題に向き合わなければなりません。
・・・ちなみに。
大阪府からの正確な被害想定がまだ出されていませんので、この想定は若干の変更の可能性があることも申し添えておかなければなりません。