【福祉】子宮頸がんワクチンについて @H25.6月議会
Ⅰ. 子宮頸がんと子宮頸がんワクチンについて
子宮にできるがんを「子宮がん」といいますが、子宮に入口(頸部)にできるがんを「子宮頸がん」といい、子宮にできるがんを「子宮体がん」といいます。これらは発生場所も原因も発症しやすい年齢も違います。
子宮頸がんの原因はヒトパピローマウイルス(HPV)と呼ばれるもので、ほとんどの女性が一生に一度は感染するといわれています。
HPVには、100種類以上の型が存在し、そのうち15種類の型ががんとなる「ハイリスク型」といわれるウイルスが子宮頸がんになります。ハイリスク型と呼ばれる型は次のとおり。
16型,18型,31型,33型,35型,39型,45型,51型,52型,56型,58型,59型,68型,73型,82型,(ときに26型,53型,66型)
このうち、子宮頸がんワクチンが有効とされるのは、サーバリックスが16型と18型に。ガーダシルが6型と11型と16型と18型に効くと言われています(実質、16型と18型)。
つまり、子宮頸がんワクチンでは子宮頸がん罹患の可能性を100%防ぐものではありません。さらに、日本人の子宮頸がんの原因はHPV52・58型が比較的多く、HPV16・18型は全体の約60%ということです。そのためHPV16・18型予防に製造された輸入ワクチンは、日本人には予防効果がさらに限定的であるということも製薬会社が述べていることも特筆すべきことです。(52型、58型に対する予防効果は10%程度)
さて、では子宮頸がんの感染に至るまでの経過を追ってみます。
前述のとおり、性交経験のある女性のうち50%~80%は、一度はHPVに感染しています。この事自体は病気ではありません。
15種類あるハイリスク型に感染したとしても、自然免疫で90%が自然排出されます。
残った10%の感染が持続したとしても、90%が自然治癒されるといわれています。
そして、残ったものが前癌病変となります。
子宮頸がんは、感染→持続感染→「軽度異形成→中度異形成→高度異形成」と進行しますが、その過程において、ほとんどが自然に治るがんと言われており、子宮頸がん検診で十分対応が可能です。
では、いま問題となっている副反応とその有効性の割合についてですが、下表をご覧ください。
●16型および18型HPVへの感染率および感染細胞が前癌病変に進行する割合(有効性)
|
感染率 or 変異率 |
10万人当たりの患者数 |
16型+18型 HPV感染 |
0.7% |
700人 |
持続感染 |
0.07% |
70人 |
軽度異形成へ進行 |
||
中度・高度異形成への進行(前癌病変) |
0.007% |
7人 |
●副反応及び重篤な副反応を引き起こす割合(リスク)
|
10万人あたりの発生率 |
副反応 |
22.8人 |
重篤な副反応 |
10.2人 |
子宮頸がんワクチンがあまりにもリスクが高く、あまりにも有効性がないことが一目瞭然でご理解いただけると思います。
さらに言うと、ワクチンの効果はだいたい10年ほどだといわれています。
子宮頸がんワクチン(効果が最長のサーバリックス)でも9.4年。はたして、小学校6年生~高校1年生のあいだで勧奨接種され、効き目はあるのでしょうか。
子宮頸がんワクチン導入以前の状況をみてみたいと思います。
死因/年齢 |
~19 |
20~29 |
30~39 |
40~49 |
50~59 |
60~69 |
70~ |
子宮頸の悪性新生物(人数) |
0 |
24 |
166 |
347 |
451 |
488 |
1043 |
●『平成21年人口動態統計』下巻
ご覧のように、若年層の子宮頸がんでの死亡者数はきわめて少なく、ワクチンの有効期間といわれる9.4年では、効果が少ないことがわかります。
亡くなられた方の多寡にかかわらず、未然に防げるがんは防ぐべきなのでしょうが、「子宮頸がん打ちましょう」の宣伝の前に、示すべき情報はこのようにたくさんあったはずです。
Ⅱ. 自治体にできること
6月議会開会当初は、上記のリスクと有効性を答弁で炙り出し、子宮頸がんワクチンを接種するリスクをすべて説明したうえで、勧奨接種をおこなうように・・・
と行政に詰め寄るつもりでしたが、ご存知のように議会開会中の6月14日(金)に厚生労働省の専門会議において、勧奨接種の中止という意見が取りまとめられました。なので、急遽、6月17日(月)におこなう予定の質問内容を変更。
14日(金)の厚労省の勧奨接種中止までに質問が回ってきたら・・・と思うと、数奇な運命を感じざるを得ません。
副反応が発症した場合、訴訟対象となるのは、国、自治体、医療機関です。そして、勧奨接種の情報提供は特段、厚労省から指導がないことから、自治体による責任は大きいものと考えられます。
つまり、リスクをキチンと説明すること。
ただ、現実問題として、勧奨接種の中止という決断は、現場の医療機関からすれば「原則接種してはダメ」と解釈されます。(日本脳炎ワクチンのときがそうでした)
しかし、子宮頸がんは検診でも十分対応が可能ながんです。
このワクチン導入は十分な検証、リスクアセスメントがなされず、無責任に勧奨接種が行われたと言わざるを得ません。
子宮頸がんで亡くなられる親御さんのお気持ちを考えると胸が痛みます。同じく、行政が勧奨しているとの理由で「良かれ」と思って接種をし、その結果、歩行障害、アナフィラキシー、尊い命が犠牲になるという事態に見舞われた親御さんを想像すると、娘を持つ親として筆舌しがたい苦痛だと感じます。
国政マターとはいえ、このようなことがないよう地方議員としても声をあげていきます。