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【教育】高石独自の学力・学習状況調査の導入について @H25.9月議会

文部科学省は全国学力・学習状況調査の目的を以下の3点としています。

 

・  義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図る。

・  そのような取り組みを通じて、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する。

・  学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てる。

 

これらを要約すると、全国学力・学習状況調査の結果からPDCAサイクルを確立し、どういったものが課題として挙げられ、その解決のためのアプローチを見出し、生徒の学力向上に資することを目的としております。

PDCAサイクルを確立するなかで最も肝要なのが、客観性です。自己分析・自己評価では、どれだけ自分たちを厳しく評価したとしても客観性が乏しいため、PDCAサイクルを確立するうえでは妥当とはいい難いもの。

しかし、一方では教育という分野においては、客観的数値が算出されにくい、また、「教育は国家百年の計にある」というように、なかなかすぐに成果が出にくいという性質があります。

 そのため客観的なデータを網羅するということが困難を要するのは致し方ないと思われます。

 

 だからこそ、客観性が確保される数値化できるデータはできるだけ緻密に採取し、正確な分析が求められます。

 

さて、そこで現在おこなわれている全国学力・学習状況調査の分析が果たして正確性を確保されているのかというところを問題提起させていただきます。

 

 文部科学省は全国学力・学習状況調査を「調査目的」と位置付けておりますが、その実施対象が小学校6年生・中学校3年生のみとなっております。

 

 全国というヨコ軸でみると悉皆性が確保されているのですが、学年というタテ軸でみると小学校6年生、中学校3年生ということで抽出的になっており、経年ごとの学力が捉えられないという課題があります。

 

 実施対象の小学校6年生から中学校3年生までに4年間という空白期間があることによって、どの様な環境の変化が生徒たちの学力や運動能力に影響を与えているのかということが、正確に把握されるものではないことが指摘されています。

 例えば、学力等の伸びや低下が、中1ギャップが影響を与えているのか、それとも担当教科の先生によるものなのか、中学校3年生を迎えて学習意識が高揚していることに端を発しているのか、など。

 また、小学生においては小学校6年生までに6年間もの期間において、どの学年で学習が躓いているのか、それはクラス替えによるものなのか、生活環境によるものなのか、など。

 もちろん、現場の先生方は、その原因を肌で感じておられることと思いますが、客観的なデータを示すことによって、生徒たちの躓きの新たな気付きなどの発見が可能となります。

 

 そこで思い切った提案をしました。

小学校1年生から中学校3年生まで毎年全学年で調査テストをおこない、その経年の比較をもって正確な分析をしていただきたいと考えます。つまり、全学年の学力・学習状況調査の実施を提案しました。

 

 このように定点観測することにより、1年ごとの生徒たちの伸び率が把握でき、経年ごとに生徒たちの成長の動向を分析することが可能となります。

 先進自治体から全学年で毎年行う費用が生徒一人当たり2000円と算出されており、高石市では市内小中学校の生徒が約5000人在籍していますので、年間約1000万円の新たな支出が必要になります。

 

 ですので、一朝一夕で取り組めるものではないと認識をしておりますが、子どもたちの学力のボトムアップを図るためには先述のような毎年度ごとの小学校1年生から中学校3年生までの全学年を対象とした調査が必要だと考えます。

 

 また、これは学力だけではなく数値化できる調査項目がある限り、その伸び率を正確に把握し、分析することが可能です。たとえば、運動能力、学習環境、不登校児、いじめ件数など、多方面において分析することも必要です。

 学校の先生にも得手不得手があります。学力を伸ばすことが得意な先生もいらっしゃれば、子どもたちの生活環境を改善させることが得意な先生もいらっしゃいます。

 「学力」という一元的な客観データで先生方を評価するのではなく、様々な分野での教員の評価というものも、これからは求められてくると考えます。