【福祉】保育の広域調整と認定こども園について @H26.6月議会
広域保育という波に負けないように市内の子ども達の保育を護るべきです。
■ 広域保育とは
高石市で保育所を希望する子ども達は、市内の保育所でのみ預けることができていて、
市外の保育所に預けることは今まで不可能でした。
例えば、
高石市在住で堺市にお勤めのお母さんが、高石市で預けれる保育所は駅からも家からも遠い保育所にしか預けることができなくて、勤め先の堺市の保育所に預けたいという場合、
堺市には預けることができませんでした。
もちろん、堺市在住の高石市にお勤めの・・・場合も然り。
パッと見たところ、保護者の色んなニーズに対応していないように見えますが、そんな簡単な話ではありません。
これを改善しようとすれば、もちろん堺市さんの児童も高石市で受け入れなければなりません。
「そりゃあ、お互い様だから・・・」と思われるかも知れませんが、
ここで留意すべきは待機児童の発生具合です。
高石市は、ほとんど年度初めの待機児童を発生させていません。
これは児童の減少によるものだけではなく、素直に行政の努力によるところもあります。
一方で、高石市を取り巻く隣接自治体は待機児童を発生させ続けています(以下、参照)
この状態で市外の児童を受け入れると・・・
待機児童ゼロの高石市が、他市の待機児童(になるであろう)児童をお預かりし、
高石の児童が待機状態になってしまいます。
それではいけません。
その逆転現象を防ぐために、高石市は市内でのみ保育をおこなってきました。いわゆる鎖国状態です。
しかし、来年から大阪府より開国を迫られ、高石市も広域で保育を考えなければならなくなりました。
これが、広域保育に踏み切らざるを得なくなった背景です。
※参考・・・平成25年4月時点の待機児童(隣接市)
和泉市:48名 泉大津市:38名 堺市:62名 高石市:0名
■ 私立幼稚園の認定こども園化で供給過剰に
認定こども園とは、幼稚園と保育所のドッキングした施設です。
高石では取石認定こども園が開園しており、来年度から浜寺幼稚園が認定こども園への移行が予定されています。
さらに今回の6月議会で清高幼稚園が認定こども園へ移行するための議案が審議されています。
私立幼稚園が認定こども園になると、以下のおもな保育所機能が加えられます。
1.0歳児~2歳児の保育
2.長時間保育
とすると、市内の保育所を希望する需要が一定満たされますので、供給が過剰になります。
供給が増えるので広域保育をしたからといって、殊更に待機児童が発生するという事はありませんが、それもどんな広域保育をするのかという役所の方針次第。
そこで、堅持してほしい私なりの方針を提案したのが、今回の6月議会です。
■ 認定こども園と広域保育を活用して旧定義の待機児童解消へ
理解するのに、まずは待機児童の「新定義」という用語をご理解ください。
「新定義」とは、
①ほかに入所可能な保育所があるにもかかわらず、特定の保育所を希望して待機している場合、
②認可保育所へ入所希望していても、自治体の単独施策(認可外保育施設や保育ママ等)によって対応している場合―これらを待機児童数から除くとしているもの、
をいいます。
つまり、今の待機児童の定義には、
「入りたい保育所に入れず、やむを得ず遠くの保育所や認可外保育所にかよっている」とか
「満員のため兄弟が別々の保育所にかよっている」とかの場合は含まれていないのです。
私は、新定義ではない待機児童、つまり旧定義の待機児童の解消が保護者のニーズに一定お答えするものであると考えています。
ケーススタディしてみます。
あなたの娘は3歳で保育所にかよっています。
入所希望を出したのは、第1希望が家に近い羽衣保育所、第2希望が家から遠い南海愛児園でした。
残念ながら、第1希望の羽衣保育所がはずれ、現在、第2希望の南海愛児園にお世話になっています。
そこで、来年から浜寺幼稚園が認定こども園になるので、希望を変えて提出したとします。
第1希望が羽衣、第2希望が浜寺、第3希望が愛児園といった具合に。
しかし、またもや、残念ながら、第3希望の愛児園にしか入所が決まりませんでした。
さて、数か月が経過して、保育所の定員が増えます。
(※年度当初から較べて児童の状態を見ながら定員を増やしていくケースが多々あります)
そこで、問題になるのが広域保育です。
第1希望と第2希望に外れているのに、隣の市の子どもが高石市民であるあなたの希望する保育所に(増えた分の定員枠に)先に入られたらどうでしょうか?
これでは不公平です。
しかも、保育所はその大部分が高石市民の税金により運営されているものです。
これを防ぎ、かつ、増加した保育の供給部分において、「まずは、第1希望の施設に通えていない市内の児童を優先的に通わせてほしい」と提案しました。
そのうえで、市外枠があれば、他市の児童も通っていただくことで公平性は担保されます。
どころか、認定こども園が増えたことにより、保護者のニーズも充足させることに繋がります。
広域保育を開国に例えましたが、待機児童ゼロの高石にとっては不利な条件がやはり目立ちます。
しかし、市同士でもっと連携して大所高所にたって待機児童ゼロを果たしていくことも一方で大切な社会的使命でもあります。
我田引水、綱の引っ張り合いばかりしているから、日本の地方は発展しないとさえ考えます。
地方分権がもっと進めば、こういった「自分の街には不利だけど・・・」とか「他市の街には不利だけど、自分の街からすれば有利だから・・・」というケースは、これからたくさん生じます。
自分の街の利と他市の利が一致しない時にこそ、どうやって調整するかが今後とわれる政治力のひとつとなってくるでしょう。
今回の広域保育は、そういった意味で議員・職員ともに良き試金石になったとポジティブに捉えています。