【福祉】健幸ポイントについて@H30.6月議会
健幸ポイントとは、運動をすることによってスマホのアプリや歩数計でポイントをためて、商品券やギフト券などに使える「運動をおこなうきっかけ」をもってもらうために平成26年度よりスタートした制度です。
上述したように、この制度の狙いは「運動習慣があまりない方」がウォーキングしたり、運動事業に参加することで、「運動習慣をつけてもらうこと」です。
なので、「日ごろから運動習慣がある方」が健幸ポイントを付与され続けると、それは有効な使われ方とはいえないわけです。
平成26年度から平成28年度の登録者は約2000人で、
運動無関心層・・・27%
運動不十分層・・・54%
運動十分層・・・19%
となっています。
1点目の質問は、この「運動十分層」から「運動無関心層」への健幸ポイントの登録者をシフトしていく必要性についてです。
でなければ、「運動習慣があまりない方」が「運動習慣をつけてもらうこと」につながりません。
なので、「運動習慣がある方」が所有している歩数計を、「運動習慣があまりない方」に譲渡し、再利用できるのかを確認してみました。
しかし、「契約先(タニタ)からは不可能といわれています」と答弁が返ってきました。
私は「そんな返答で食い下がらず、交渉を重ねて欲しい」と返す刀で指摘をしました。
たしかに歩数計には登録者の運動データが残っています。しかし、いくら持ち主のデータが蓄積されてようが、それを削除できないわけがないと思うからです。
この歩数計は市が5000円を契約先に支払っています。
再利用ができないとあれば、登録者が転出や死亡、また登録しても運動しなくなったということであれば、この5000円は有効に使われなかったということになります。
健幸ポイント事業は、システム運営費やポイント原資などを含めると年間5000万円が毎年必要となる事業です。
登録者数は約3000人なので、登録者一人の健康増進に約16000円の税金が投入されています。
高額な税金が限られた市民にしか使われていないわけです。
だからこそ、せめて有益に運用されるように申し伝えました。
2点目は、高石市の健康政策が「歩く」ということに偏重していることへの指摘です。
健康になるためのメソッドは学説によって異なりますが、以前に聞いたある学説は他からも否定的な論調がないようですし、私自身も参考にさせてもらっています。
それは「歩くだけでは、かえって不健康になる可能性を孕んでいる」ということです。
ウォーキングは有酸素運動です。
有酸素運動は脂肪を燃焼させますが、ウォーキングだけでは筋肉までも減ってしまう結果が出ているそうで、男性に比べて筋肉量が少ない女性は骨を支える筋肉が減って「骨粗鬆症」になる可能性が高まるというものです。
だから、女性はできる範囲で筋力トレーニングをする必要があると訴えられていました。
この理論を展開されていたのは、高石市と連携してスマートウェルネスシティを推進してきた久野しんや教授でした。
さて、そんな高石市がおこなっている健康政策はウォーキングがメインである健幸ポイント事業です。
一方で、筋トレに関しておこなっている事業といえば、健幸教室のみで、これは有料です。
「歩く」ことがメインな健幸ポイントは無料、どころか商品券などが給付され、
一方の「筋トレ」は有料の健幸教室に通わなければなりません。
これでは、市民をウォーキングに誘導してしまい、久野教授の指摘した状態に陥ってしまいかねません。
それでは、税金を使って市民を不健康にしてしまう可能性も示唆されるのではないかと、警鐘を鳴らしました。
筋トレは健幸教室だけでおこなわれているわけではなく、市民参加で介護予防の教室や老人福祉センターで整骨院の柔整師が健康体操をしていたりと、様々な実績があります。
こういった市民主体の教室とも連携していくことで、健康政策がより効果が発揮されるのではと考えます。
3点目は、効果の検証です。
第1期(H26~H28)は、なんと7.7万円/人の医療費が抑制効果額として示されています。
「本当か・・・」と思ってしまうほどの効果額が出されていますが、第2期も効果検証をしなければなりません。
進めている事業の効果検証をしないということは、ゴールまで目隠しして走らされているようなもの。
税金を使った価値があったかどうか、市民の福祉に寄与されたかどうかの検証、また、現場の職員のモチベーション向上のためにも、きっと事業に対する効果をはじき出さねばなりません。
「第2期も効果検証するのか?」
と聞いても、質問の意図がうまく伝わっていなかったのか、答弁の内容に窮しているのかは分かりませんが、明確な答弁が返ってきませんでした。
しかし、最後に部長から「検討してまいります」と私の考えに共感され、答弁をしてくださました。
私は来るべき人口減少社会、つまりは、高齢化による医療費の抑制に向けた政策を打っていく必要性を強く感じています。
だから、健康になってもらう政策は、市民の幸せな生活を送ってもらうだけではなく、未来への責任という使命からも推進をする立場です。
「自分の身体のことなんだから放っておいてよ」と気分を害されたかも知れませんが、不摂生が祟って、慢性的な生活習慣病になってしまうと、その医療費の半分以上は他人が納めている保険料です。
ましてや、そのなかには「健康に意識して病気にかかっていない人たち」もいるでしょう。
そんな方々の保険料から医療費が拠出されているわけですから、「私の不摂生は誰にも迷惑かけない」という理屈は、医療費が嵩み保険料が高くなる社会において、非常にプレゼンスが弱まってくると思われます。
もちろん、疾病にかかることそのものは決して悪いことではありません。
かくいう私も健康に気を付けているつもりですが、体質や遺伝の関係で皆さんの保険料に世話になるかもしれません。ただ、そうならないよう努力はしているつもりです。
あらゆる事情があると拝察しますが、それでも自ら不摂生になってしまわないように努力をしましょう、ということとご理解ください。