R5_施政方針
この施政方針では、本市がめざす方向性や行政の役割をお示しさせていただきます。
まず、高石市役所の使命であるミッションとして、「社会課題を解決するための政策モデルを展開し、豊かな市民生活を実現すること」を掲げてまいります。
これを実現するために、どうあるべきかを示すビジョンとしましては、「避けられない大きな課題である人口減少問題への歯止め政策と人口減少社会への適応政策を同時展開し、将来の担い手にまちづくりを託せるよう縦糸を紡ぐ」ことと考えております。
この間、市民、市政に携わる方々の弛まぬ努力がなされてきたところではございますが、人口減少、財政状況など、本市のおかれている状況は、依然として厳しいものであると認識しております。
国では、このほど「経済財政運営と改革の基本方針」、いわゆる「骨太の方針」原案が示され、新しい資本主義を加速させるため、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」等を加速させることや、「こども・子育て政策は、最も有効な未来への投資」と位置付け、「こども未来戦略方針」に沿って、政府を挙げて取組を抜本強化し、少子化傾向を反転させることが示されました。
本市もこの流れに遅れることなく、庁内DX化を進めるとともに、子育て施策の充実化や国、府及び他の自治体との連携を深め、刻一刻と進行する人口減少に正面から向き合う覚悟です。そのためにも、賑わいの創出による新たな財源を確保し、未来への投資に回すことで、皆様に選んでいただける魅力的なまちとなるような好循環を生み出したいと考えております。
具体的な政策は後ほどご説明いたしますが、主なものとして、旧市民会館・図書館跡地の有効活用、ふるさと納税市場への積極的な参加など、収入確保の強化に向け、庁内組織の体制づくりも含めて、好循環の創出のための財源確保に取り組みます。これらを、学力向上に向けた取組や給食の無償化等、子育て支援、教育に重点的に投資し、未来の高石市を担う世代を育んでまいりたいと考えております。
令和5年度の財政見通しについては、新型コロナウイルス感染症の影響が和らぐ中、徐々に社会経済活動の正常化が進みつつあるため、市税収入等は回復基調にあるものの、電力・ガス・食料品等の物価高騰や少子高齢化の進展による扶助費の増加等の社会情勢による影響も続いており、引き続き厳しい財政状況となることが見込まれます。
このような財政状況の中、主要なインフラ整備事業等において、地方財政措置のある地方債を活用するなど、実質公債費比率や将来負担比率を好転させるべく着実な財政運営を行うとともに、人口減少・少子高齢化への対応などの行政課題にも取り組んでいく必要があります。
それでは、令和5年度の主な施策の概要につきまして、本市の総合ビジョンである第5次高石市総合計画における5つのまちづくりの目標に沿って、ご説明申し上げます。
■ 明日の担い手を育む
はじめに、「明日の担い手を育む」についてであります。
学校給食につきまして、物価高騰の影響を大きく受ける子育て世帯の経済的負担を軽減するため、令和4年度の3学期から無償化を実施してまいりましたが、令和5年度1学期・2学期につきましても、引き続き給食費の無償化を実施してまいります。なお、3学期以降につきましては、今後の国の動向等を踏まえ、対象期間や対象者を含め、改めて検討してまいります。
産後ケア事業につきましては、これまで、産後に心身の不調又は育児不安のある方に限って利用できるサービスとなっていましたが、国の制度改正に伴い、令和5年度からは、誰もが等しく利用できるユニバーサルサービスへの転換が図られることになりました。
これを受けて、本市においては、産後ケア事業の利用促進をより一層図るため、利用料の半額補助やニーズの高かった宿泊型の利用時間延長や通所型の対象年齢拡大など、サービスの更なる向上を図ります。
また、物価高騰の影響により、光熱費や食材費の影響を大きく受けている市内認定こども園に対し、給食費の値上げを控えていただくために、昨年度に引き続き助成金の交付を実施してまいります。
学校教育につきましては、今後もICT等活用することで校務を支援し、教員の働き方改革を進め、教育環境の充実及び児童・生徒の「確かな学力」をつける取組を進めております。
デジタル教科書を積極的に活用し、ネイティブの英会話やAIドリルを使った、より高度な授業への改善と個別最適化の学習などにより、学習指導要領の求める「主体的・対話的で深い学び」のある授業を構築して、学力向上に取り組んでまいります。
さらに、令和5年度から、大阪府の不登校対策事業を活用し、不登校のこどもたちがオンライン授業のシステムを活用して自分の教室とは別の部屋で授業を受けることができるように、校内に支援ルームを設置し、こどもたちが少しでも学校に登校できるよう、重層的な支援体制の構築をめざしてまいります。
最後に、校区再編につきましては、南海本線の高架化が完成したことに伴い市内の踏切の多くが解消され東西交通の安全確保ができたことから、特に小学校区について、こどもたちの通学の安全や地域の状況等を考慮して、現状確認のうえ、令和5年度は、検討委員会にて議論を深めてまいります。
社会教育につきましては、昨年度、利用が減少していた高師浜総合運動施設のキャンプ場部分をニーズの高いスケートボード場に再整備し、今年3月にオープンいたしました。
今年度は、スケートボードと同じくオリンピックの正式種目である3X3(スリーエックススリー)バスケットボールコートを同施設内に整備し、多世代が集い、スポーツを通じて交流する場となるよう、さらなる利用促進を図ってまいります。
■ みんなで支え合い、健やかに過ごせる
第2に、「みんなで支え合い、健やかに過ごせる」についてであります。
ふれあい健康増進センター(スポラたかいし)につきましては、民間活力を活用し、年齢を問わずに楽しめる内容や初心者のサポートにも配慮された運動が出来る教室等を実施するなど、心身ともに健康を目指すことができる環境を提供してまいりました。
本年度も引き続き指定管理者と緊密に連携を取り、施設の大規模修繕などを行うことにより快適な環境の確保や利便性の向上に努めてまいります。
健幸ポイント事業につきましては、市民の健康意識の向上を図ってまいりました。今後は、これまでの成果を踏まえつつ、国の補助金等に過度に依存することなく持続可能な健康施策の検討に努めてまいります。
高齢者施策につきましては、令和6年度から始まる「高齢者福祉計画・第9期介護保険事業計画」を策定するとともに、関係機関と連携し、介護予防及び自立支援、重度化防止に向け取り組んでまいります。
福祉バスにつきましては、今後、利用者の皆様のご意見をいただき、公共交通も含めた抜本的な改善に向けて進めてまいります。
障がい者施策につきましては、障がいのある人を取り巻く状況の変化や国の動きを踏まえ、次期計画を策定してまいります。
また、「孤立ゼロプロジェクト」につきましては、訪問により見つかった支援が必要な方々へ伴走型支援を提供するなど、孤立・孤独の解消に向けた取組を推進してまいります。
今後も、介護・障がい・こども・生活困窮など分野を問わない相談支援体制の充実を図り、引き続き地域の皆さまのお力添えをいただきながら、コミュニティカフェなど集いの場の運営や、支援が必要な方々への見守り活動など、誰もが思いやり支え合う「我が事・丸ごと」の地域づくりを展開してまいります。
■ 安全・安心で快適に暮らせる
第3に、「安全・安心で快適に暮らせる」についてであります。
気候変動の影響により激甚化・頻発化する風水害や、切迫する大規模地震・津波などの災害から、市民の生命・財産を守り、災害の被害に遭う方を一人でも減らすことは私どもの使命です。
地震・津波総合避難訓練については、より創意工夫を凝らしながら、実施してまいります。
特に、共助の中心となる各地区の自主防災組織の組織強化のため、引き続き、全ての自主防災組織において、地区防災計画の作成につながるよう自主防災組織連絡協議会と連携して支援を進めてまいります。
併せて、近年の災害を教訓として、障がい者や高齢者等の方々が被害に遭われている状況を踏まえ、災害時の避難支援等をより実効性のあるものとするため、本市でも避難行動要支援者について個別避難計画の作成に向け、自主防災組織連絡協議会や社会福祉協議会等と引き続き協議を進めてまいります。
さらに、災害等の緊急時における情報伝達をより迅速かつ確実に行うため、防災行政無線の最適配置や補完的な情報発信として、戸別受信機などの新たな手法についても検討してまいります。
災害時の備蓄品につきましては、順次、計画的に主要品目の備蓄に取り組むとともに、避難所のQОL(クオリティ オブ ライフ)向上のためのワンタッチテントや段ボールベッドに加え、男性と女性双方の視点を取り入れ、また妊産婦や子育て家庭のニーズなどを踏まえた備蓄も進めてまいります。
消防施設につきましては、平時の火災に加え、大規模災害時に内陸部や臨海部の市域全体に係る重要な活動拠点となることから、整備方針の策定に向け堺市消防局と協議してまいります。
また、消防団につきましては、災害時等における実践に即した訓練の実施による技術の向上と更なる組織の活性化、地域の防災活動への参加等による地域防災力の充実・強化に努めてまいります。
防犯につきましては、住民、企業、防犯協会や高石警察署などと連携を図りながら、防犯カメラの効果的な配置の検討や犯罪抑止対策を進め、より安全・安心なまちづくりをめざした取り組みを引き続き進めてまいります。
南海本線・高師浜線連続立体交差事業につきましては、事業主体である大阪府及び南海電鉄と連携し、令和6年春の高師浜線の高架化完成をめざすとともに、バリアフリー化事業につきましても、あらゆる人が安心して駅を利用できるよう取り組んでまいります。
南海中央線整備事業につきましては、東羽衣地区の早期開通をめざすとともに、東羽衣第2地区も計画的に用地買収を進めてまいります。
取石418号線につきましては、引き続き用地買収の完了に向け交渉を行い、早期開通をめざし事業を進めてまいります。
市道市役所前通りにつきましては、通行の安全性を確保するため、舗装の打ち替えに加え歩道の段差解消とバリアフリー化、さらに自転車レーンの設置等も同時に実施いたします。
また、令和5年4月1日から自転車ヘルメット着用の努力義務化に伴い、自転車用ヘルメットの購入費補助を小学生までから中学生までに拡充し、更なる普及促進につとめてまいります。
下水道事業につきましては、ストックマネジメント計画に基づき、管路及び施設の適正な維持管理に努めてまいります。また、南海本線連続立体交差事業等の進捗にあわせて雨水幹線等の整備を計画的に進めるとともに、集中豪雨による浸水被害の軽減対策を検討してまいります。
水道事業につきましては、老朽管更新事業及び配水場長寿命化事業を実施し、管路の耐震化や施設の適正な維持管理に努めてまいります。また、水道事業の経営・技術基盤の強化を図るべく、引き続き大阪広域水道企業団との統合を進めてまいります。
■ 人を惹きつける魅力と活力があふれる
第4に、「人を惹きつける魅力と活力があふれる」についてであります。
蓮池公園につきましては、引き続き精力的に用地買収に取り組むとともに、みどり豊かな市民の憩いの場、スポーツ・健康づくりの場として、また、災害発生時には防災機能を備えた防災拠点となる公園整備の早期完成に向け、すべての人にやさしい公園づくりを進めてまいります。
次に、本市の主要駅の周辺整備についてであります。
高石駅周辺につきましては、「居心地がよく歩きたくなるまちなか」の実現に向け、駅前広場の芝生化や高架下など、アプラたかいしという資源と相乗効果の生まれる周辺整備を官民共創で進め、多世代が交流・滞在し活躍できる魅力あふれるまちづくりを進めます。
また、高石駅西土地区画整理事業を見直し、高架下や駅周辺エリアと連携した都市基盤整備の検討を進めてまいります。
旧保健センター活用事業については、公民連携推進協議会による定期的なイベントの開催を行い、プレイヤーとなる市民が繋がり、さまざまな取り組みがトライアルできる場の整備に向けて、事業を進めてまいります。
羽衣駅周辺につきましては、連続立体交差事業の進捗状況と調整を図るとともに、地域の住民の方々や周辺関係者と協議を進めながら、周辺道路や駅前広場の整備を進め、さらなる駅周辺の活性化、賑わいのあるまちづくりに向け取り組んでまいります。
富木駅周辺につきましては、駅周辺のにぎわいや沿線の活性化に向け取り組むとともに、都市計画決定されている道路の今後のあり方を検討してまいりたいと考えています。
産業振興につきましては、令和4年4月からは、脱炭素社会に向けた産業構造の転換による、新たな産業への投資の促進を図るため、新エネルギー関連事業等を営む新規進出企業等に対しまして、固定資産税等を5年間課税免除とする支援の拡充を行っております。
また、カーボンニュートラルに取り組む企業を対象とした緑化基準の緩和についても研究してまいります。
次に、地域振興施策につきましては、旧市民会館・図書館跡地利用におきまして、民間活力を導入した魅力的な集客施設の設置の実現に向け、取り組んでまいります。
また、高石市ブランド戦略の一環でスタートしました、本市の一大イベント「高石シーサイドフェスティバル」につきましては、4年ぶりに開催し、これまで以上の賑わいづくりに努めてまいります。
今後も工場夜景をはじめとする本市の魅力を情報発信し、交流人口の増加を図り、さらに定住促進にもつなげるべく、充実・発展させてまいりたいと考えております。
■ 持続可能なよりよい未来へつなぐ
第5に、「持続可能なよりよい未来へつなぐ」についてであります。
2050年のカーボンニュートラルの達成という長期目標の実現のため、令和5年3月に策定しました高石市地域脱炭素計画に沿ってゼロカーボンシティ実現への取組を加速化してまいります。
今年度から泉北クリーンセンターで発電した余剰電力の小中学校への供給を開始し、その効果検証等も行いながら、地域でのエネルギーの地産地消に向けた取組を進めます。
また、本市の特徴でもある臨海コンビナートを含めた産業部門については、企業任せにすることなく市も連携して、化石燃料から脱炭素燃料への転換をはじめとしたGXの取組を促進してまいります。
行政運営のデジタル化につきましては、大阪府のデジタル人材シェアリング事業を活用し、本市の業務における詳細な分析と見直し(BPR)を実施します。今後、本市における最適なデジタル技術を見出し活用することにより、住民の利便性向上と業務の効率的かつ効果的な行政運営の両立を図ってまいります。
以上、令和5年度の主な施策の概要につきまして、ご説明申し上げてまいりました。
冒頭に申し上げましたとおり、これらの施策をもって高石市における豊かな社会の実現に向け、全力で行政の使命を果たしてまいる所存でございます。
引き続き、議員各位と市民の皆様の温かいご理解とご支援、ご協力のほどよろしくお願い申し上げ、令和5年度の施政方針とさせていただきます。