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来るべき時代に向けた地方議会の在り方・・・の大前提にあるべきお話

「地方分権や道州制を世間の勢い流され進めるのではなく、きっちりと勉強していこう」という理念で、関西圏政治研修会という超党派での勉強会が何度か開催されています。

本に書いてあるレベルの情報や、ネットで探せば見つかる程度の内容ではなく、かなり突っ込んだ生の情報や、キチンと整理された学術的理論なども拝聴できるので、毎回楽しみにしています。また、同市の議員さんにも共有して欲しいので、同行させてもらっています。

 

今日は、滋賀県は大津市で開催されました。

前段は、西宮市議の今村岳司議員の議会改革についてのオハナシ。

 

 

今村さんとは何度かお話させていただいたのですが、私が本当に尊敬できる・・・というか、この人すげーな、この人が議員なら市民の皆さんは恵まれてるな、などと思える同業者はけっこう数少ないわけで。その内のお一人がこの今村さんです。

 

何がすごいのかというと、常に原点を忘れずにブレずに政策を考えていること、それもかなり根源的、哲学的に。

「そんなん、当然やん」と住民の方は感じられるでしょうが、これがなかなか難しい。議員というのは情熱が強ければ強いほど、視野が狭くなってしまい、住民の幸せを増進させることが最大目的ではなく、実現に向けて進行中の政策を実現させることが最大目的となってしまうことが往々にしてあります

そうなってしまう原因はたくさんあります。その政策を編み出すのに、常日頃張っていたアンテナから市民からの意見聴取、それを実現させるために法体系や条文を読み漁り、職員と侃々諤々とヒアリングし、専門家からアドバイスを聞きに遠方まで足を運び、他市の事例を調査し、ときには新幹線で現地まで訪れ・・・何日かで実現することもあれば、何カ月も要することもあります。となると、やはり人間なので「これだけ汗かいたのだから、何としてでも結実させよう」と考え始めてしまいます。

目的が、「住民の幸せ」から「自己満足」に変わってしまうんです

会社なら、どれだけしんどい思いしても上司に撥ねられたらそれで終い。いちから作り直しという厳しい洗礼を浴びるのですが、議員は上司がいません。それを自分で見詰め直す作業が必要になるので、ある意味、没頭すればするほどタチが悪い結果を招いてしまうこともあるのです。

私たちの仕事の目的を序列化したならば、自分の喜びより、市民の喜びが優先されるべきです。そして、市民の喜びが自分の喜びと折り重なるようであれば理想的ですね。

 

翻って、今日のテーマの議会改革。いま、議会改革は流行っています。議会の透明化、ムダの削減、機能向上などなど、変えていかなければならないものはたくさんあります。

しかし、残念ながら「他所がやってるからウチもやろう」という何かしら輝いて見える先進事例の輸入合戦が自治体同士で繰り広げられているように思えて仕方ありません。先進だからといって住民の幸せに繋がるとは限らないのに。

確かにそれは必要、でもそれにかかるコストは成果に見合うものなのか?

これを実現することで、住民の皆さんは喜んでくれるのか?

住民福祉の増進にどれだけ寄与することができるのか?

そもそも高石にとって必要なものなのか?

この掘下げがなされないまま、なんかいい感じの政策が実現されていくと、有名無実の制度だらけになってしまいます。

 

恥ずかしげもなく申し上げますと、一期目のときは、そうでした・・・。

あの町のあの政策は高石に導入すべきだ!あの研修で学んだ事例は高石に応用できるはず!

高石市議会には何が欠けていて、何が課題で、どんな特性があって、どんな将来像を描くべきかという視野が全く抜け落ちていました。

 

高石になくて他所がやっていることは素晴らしい!高石にも取り入れるべきだ!

こんな考えが基になって、赤字だらけの市民病院・我田引水型の政治で国際競争力のなくした空港、港湾・特徴がなく画一的な市民会館・駅舎・道路・・・などが今の財政をひっ迫させ、経済成長を果たせなかった要因の一つでもあるのに。

 

地方分権が進めば、今迄の議会運営では太刀打ちできなくなります。以前から何度も警鐘を鳴らしていますが、強い地方議会を作るために決して忘れてはならない視点を改めて認識できました。

 

今村さんのお話の気付きは、ざっとこんな感じですが、もっと色んな議員さんに聞いて欲しいと思う内容です。もっと言えば、聞かせてあげたい議員さんをお連れできればと思いました。

 

後半のお話は、大学教授の道州制についての内容。

総花的であって、教科書を読んでいるような講演でした。拝聴するのは二度目で、一度目が非常に示唆に富んだ内容だったので期待していたのですが、素直な感想は残念でした。

 

最後に今日のメモ